既視感 uszw.side ページ18
この人めっちゃソワソワするじゃん。
なんか隠し事でもしてるのか？
「えと、あなたは？」
?「あ、自分は…一応Aって名前で…。あなたの…知り合いです」
「Aさん…ですか。俺は佐々木です…って、知り合いなら知ってるか」
Aと名乗るその青年は落ち着いた声であるもののなんでか目が泳いでる。
「お見舞いに…来てくれたんですか？俺の」
A「あ、そうです。あと全然タメで大丈夫。自分もタメにするから」
「あ、そう？ならタメにしようかな」
俺は…この人を覚えてない。
あれ？俺が忘れてるのって実況とやらをしてた期間の記憶だけじゃないのか？
実況者さんなのかな。
それかなんかのイベントの関係者さんとかか。
…様子見てみるか。
「Aさんは俺とどういう経緯で知り合ったの？イベントとか？」
A「あー……初めて会ったのは普通にプラベかな」
「そうなんだ、居酒屋であったとか？」
A「いやいや、酒関係じゃない。実は佐々木さんが実況活動してた時のお仲間さんに会ってみたいって言われたらしくて、それに佐々木さんもノってきた感じ」
へぇ、俺が人に……。
幾ら記憶が一部喪失とは言え俺自身の性格とか忘れた訳じゃない。
人に興味を持つ事なんてあまり俺はない人間だという自覚がある。
過去に好いた人は単に面白いやつか、トークが光るやつだった。
男に好意を持つなんてそれくらいの理由しかない。
A「あ、お茶あげる。飲んでね」
温もりのあるペットボトルを俺にAさんは差し出してくる。
…綾鷹。
…………綾鷹？
「なんか、高身長のヤツが好きそう」
A「……っ！お、思い出した？！」
Aさんは椅子から飛ぶように立ち上がる。
「お、思い出したというか…起きた時にいたノッポの人が好きそうだなって？」
A「そ、そう。当たってるよ、アイツ水と綾鷹ばっか飲むんだ」
「なんか、ごめん。期待させて」
A「いや、大丈夫だよ。少しずつ思い出せればいいよ、じゃあまたお見舞い来るね。お大事に。
＿＿＿＿＿佐々木さん」
「あ、ありがとう。またな」
そう言ってAさんは病室を後にした。
なんだか本当に変なヤツだ。
でも、なんだろう。
立った時、なんか、こう
凄く
消えてしまいそうな、
＿＿＿＿儚い顔をしていた。
「…もうそろそろ消灯時間だったっけな」
ふと思い出した様に俺はベッドの中に潜り込む。
なんだ、分からない。
この気持ちの意味。
なんなんだよこの雫
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作者名：Yとさん。 | 作成日時：2022年11月14日 22時
