・ uszw.side ページ12
コーヒーのドリップが完了して、カップを取り出す。
なんか蓋みたいなのを黒い何かしらの箱みたいなのからとってカップに取りつける。
牛「……柚子と山椒って合うのか？」
自動ドアを通り抜けながら、袋を眺める。
牛「……んー、食ってみないとわかんねえし早く帰ろ」
ズズ、とコーヒーを啜り飲みながら横断歩道の方へ向かう。
微かだがガッチさんと男の子が交番の前で夫婦っぽい人たちと合流してるのが見える。
よかった、両親近くにいたんだな。
牛「…コーヒーうま」
少しゆったりと歩きながら親子の時間を潰さないよう気を使う。
牛「…ん？」
しかしどうやら子供のカンというものはかなり強い様で。
男の子はこっちの方を見たかと思うと両親の顔を見て何か言ってるようだ。
それと同時にガッチさんにもなんか子供が言ってる。
牛「目ぇよ」
俺は仕方なく横断歩道へ行く歩幅をいつも通りへ戻し、歩みを進める。
その姿を見た男の子は猛ダッシュで横断歩道の方へ走る。
牛「…元気いっぱいだなあの子」
しかしまあ信号の色は赤なので一度立ち止まる。
それを見て男の子も走るスピードを緩めて信号の前で止まる。
男「おーーい！おじさーーん！」
何を思ったのか男の子は両手を振り、叫んでいる。
牛「お、おう」
俺は仕方なくといってはアレだが手を小さく振り返す。
授業参観で親が手を振り返す時みたいな感じだな。
その後ろから両親らしき人達とガッチさんが追いつく。
何故かは分からないけどガッチさんも俺に手を振ってる。
両親とガッチさんは話してるようで、男の子から二三メートル離れた場所で話してる。
アレだな、子供がいる人同士で話が盛り上がってんだろうな。
俺はコーヒーを啜りながら信号が色を変えるのを待つ。
向こう側にいる男の子はどうやら早く俺と合流したい様で、走る様に足踏みをしている。
牛「…アホみたいだな、楽しそうでなによりだけど」
俺はその姿に思わず口角を上げてしまう。
ガッチさんと両親ぽい人達はその姿を微笑ましく見つめている。
いや、ガッチさん本来俺側に付くべきでしょ。
俺がなんで若い側みたいになってんだ。
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作者名：Yとさん。 | 作成日時：2022年11月14日 22時
