【UT】SUNRISE/SUNSET2【男主】

迎 ページ9

翌日、15時。
軽い歩行のリハビリを受け、そのまま私は晴れて退院する運びとなった。
この騒動のせいで少しばかりヨレてしまったワイシャツとベージュのコートに腕を通し、軽い荷物を持って病院のロビーを通過した。
自動ドアのセンサーが私を認識し扉が開かれると、冷たい冬の風が私を出迎える。
空には雲ひとつない、腹立たしすら覚えてしまうほどの晴天だった。
コートの中に冬風が入り込み体を撫で上げて行く感覚に鳥肌がぞわりと立ち、堪らず身震いした。
松葉杖をつく少年、頭にニット帽を巻く少女、点滴スタンドを連れる男性、大きなお腹を抱えた女性、様々な人達の横を通り過ぎる。

─結局、彼とはあのまま…。

連絡手段もない彼と、中途半端な状態で別れてしまった。
まだ気になる事もあったのに、どうすれば会えるのだろうか。
首元のマフラーに顔を埋め、少しばかり俯きがちに歩く。
ふと、コートを誰かにクイクイと引かれる。
なんだろうと思い振り返ると…。

「よ」
『…! サンズさん!』

柔らかな笑みを浮かべた彼がそこに居た。
また彼に会えた、そう思うと嬉しくて堪らなくなり、自分の昂りを抑えきれず彼を抱き上げてしまった。

「ぅわっ!? ちょ、おいっ?」
『はは、すみません、なんだか凄い嬉しくて』

羽のように軽い彼を高く抱き上げ、まるで某ネズミーアニメーションのようにクルクルと回る。
すると、周りを行き交う人々が微笑ましそうに私達を見ていた。

「っ、なぁ、A、恥ずかしいからそろそろ下ろしてくんないかな…」

フードを深く被り、頬を青く染める彼。
っ、か、可愛い〜!!
な、なんだろう、例の出来事のせいなのかお陰か、彼に対する好感度がカンストしてしまっているような気がする…。

「お、おーい、下ろしてくれー!」

先程よりも更に顔を青く染めるサンズさん。
今そのほっぺに触ったらすごく熱いんだろうなぁーって思いながら彼をゆっくりと下ろしてあげる。
まだ恥ずかしいのだろうか、フードを掴み口元を隠すサンズさん。
…なんか、よく考えてみたら私、めちゃくちゃ恥ずかしい事をしていたような気がする。
い、いくら会いにきてくれたのが嬉しかったとはいえ、流石に抱き上げるのはやりすぎだろ私…!
ぽぽぽ、と熱くなってきている自分の頬を冷たい手で冷やしていると、サンズさんが軽い咳払いをする。

「あー、あのさ…Aがもしよければなんだけど、今から俺んち来るか…?」
『…っへ!?』

さ、さ…

『サンズさんのおうちぃー!?』

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