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彼の泣き声を聞いていると、私も大人にしてはみっともない程の量の涙を流してしまう。
…私達の泣き声は相当大きかったようで、開け放たれていた病室の扉を看護師さん達や他の患者さん達が覗いては去っていくのを繰り返していた。
暫くすると、大量の書類を持ったひとりの看護師さんが部屋を覗き、驚いたのかその書類達を全て床に落としてしまう。
でもそれすらどうでも良いのか、彼女は「先生! 先生! 302号室のAさんが…!」と叫びながら再び何処かへと消えてしまった。

…暫くすると、私の担当と思われる先生と、先程の書類の看護師さんが部屋にやってきた。
1週間もの間うんともすんとも反応を示さずこんこんと眠り続けていた私が目を覚ました事に驚いたのだろう、「この後すぐに精密検査をしてもいいか」と問われ、車椅子に乗せられる形で抱き合っていたサンズさんと引き離されてしまった。
車椅子に乗せられ検査室へと連れていかれる直前、まだ涙をこぼしていたサンズさんと目が合ったので、私は笑みを浮かべサムズアップをしてみせながら

『すぐに戻ります!』

と言って見せた。
すると彼も、パーカーの袖で涙を無理矢理拭き笑みを浮かべると、ふわふわのミトンをはめた手でサムズアップし

「ああ、待ってる」

と言ってくれた。

─────────────────────

「レントゲン、MRI、CTスキャン、…全てやったけど身体には異常なし。血液検査も尿検査も何から何までやったのに異常が見つからない。意味がわからない」

先生が机に肘をつき頭を抱える。

「…うん、君、軽いリハビリやったら即退院ね」

カルテの一覧に「過労」と乱雑に書いた先生は、そのカルテをバインダーに挟み溜息を吐きながら診察室を出て行ってしまった。


「…じゃあ、お部屋に戻りましょうか、Aさん」
『あ、はーい』

カラカラ、看護師さんに車椅子を引かれ、私が元いた部屋、302号室に連れていかれる。

サンズさんは、もう部屋には居なかった。

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春朧 - 素晴らしい作品をありがとうございます!!この作品を見つけてから何回も見返して楽しんでます!!これからも応援してます (2022年8月16日 11時) (レス) id: 27ed0134a4 (このIDを非表示/違反報告)
名無し56929号(プロフ) - この作品に出会ってはじめから一気読みしました…一番好きな小説ですありがとうございます… (2022年6月16日 12時) (レス) @page23 id: bb65216783 (このIDを非表示/違反報告)
くろほたる(プロフ) - お陰様で新たな扉が破かれました。お話開く度一喜一憂してしまいます。sansの原作っぽさを再現しつつ違和感皆無に仕上げるの感動しました…!おじさん(主人公)かわカッコでsansもカッコかわなの凄く微笑ましいです悶えます…!!長文失礼しました。おかえりなさい…!! (2022年5月29日 23時) (レス) id: c41e537264 (このIDを非表示/違反報告)
夢川(プロフ) - 黒曜楼乱さん» ただいまですー☺️ (2022年5月17日 23時) (レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)
夢川(プロフ) - モブくんさん» えへへ、遅くなってすみません☺️ (2022年5月17日 23時) (レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢川 | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/item/da3d119d46aa3a420b503d00d3fa8e22/1637423635...  
作成日時:2021年11月29日 14時

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