【UT】SUNRISE/SUNSET2【男主】

食 ページ15

ぱくん。
口内に招き入れたソレ…スパゲッティが舌に触れ、味を脳で理解した瞬間。
私の身体は稲妻に打たれた。
いや、正確には稲妻が落ちた訳では無く、余りにも膨大な味の情報量に脳が誤作動を起こし、稲妻に打たれたと勘違いを起こしたのだ。
拒絶反応なのか、身体がガクガクと震え始める。
なんだ、なんなんだこれは。
苦いとか、酸っぱいとか、しょっぱいとか、甘いとか、もうそんなんじゃない。
味が、ない。
いや味はあるんだけど、今まで味わった事のないその味は私にとっては余りにも衝撃的なもので、一瞬今口に運び入れたコレが食べ物であることを忘れてしまっていた。
頭の中に宇宙が広がる。
なんだ、なんだこの味。
いや待て…私はこの味を知ってる、この味は…あれだ、私がまだ小学生の頃、同じクラスの友達と鬼ごっこをしていた時に私が転んで、口の中に土が入ってきた時の、あれだ。
それにまだある、図画工作の授業でミニチェーンソーを使って木材を切断してる時の、あの木が摩擦で焦げているような、あの匂いの味がする。
匂いの味がするってなんだ…!?
兎に角、このスパゲッティからはおおよそ食べ物からは感じない、感じられない、感じてはいけない味がするのだ。
つまりコレは、このスパゲッティは……!!

『ま…』
「ま!?」

キラキラと輝く瞳で私をじっと見つめるパピルスくん。
やめろ、そんな目で私を見ないでくれ、私は君が望むような回答をしてあげられない。
だってこの料理はあまりにも…!!

『ま…』
「ま?」

今度は私の隣から声がする。
顔を向けると、そこには左目を青く輝かせるサンズさんが笑みを浮かべていた。
待って、その目ってあの回廊の時の目だよね。
え、戦闘態勢に入ってるってこと?
答えを間違えたらどうなるかわかってるよな、ってこと!?
待って、怖い、サンズさんが怖いよぉ!!

『ま…!!』
「ま!?」
「ま?」

まだ口の中に居座り続けるソレの味を認識しないように咀嚼し、飲み下した。
この料理は…この料理は…!!

『ま…………マーベラス』

と て つ も な く マ ズ い ！！！！！

「兄ちゃん、マーベラスってなに?」
「まぁ、すんばらしいって事だよな」
「ウヒョウ!! Aにも褒めてもらえた!! そろそろ俺様も有名レストランに雇われちゃうかも!?」

いや…多分それは…かなり先のお話になると思うよ、パピルスくん…。
口から出かかった本心か、もしくは胃から迫り上がってきた何かを、私はグッと飲み下した。

家→←招

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