弟 ページ13
『なるほど。なら、そんな疲れている貴方にオススメの足湯があるんですよ』
「へぇ、足湯か。でもなんで足湯?」
『そりゃあ…』
首を傾げて見上げてるか彼に、私は渾身のドヤ顔をしてみせながら言い放った。
『足湯が疲れを…吹っ飛ばす(foot bath)からですよ!』
……彼は呆然と私を見つめていたが、意味がわかったのか白い目をキュッと縮ませると、徐々に俯き肩を震わせ始める。
ここで私はトドメに、彼の隣にしゃがみ込んで小声で追い討ちを掛けた。
『足湯で疲れを…foot bath(吹っ飛ばす)♪』
「ッ、ひ、っへへ、へへへっ、ぁはは、はははははっ!! おまっ、アンタまじ最高!! 前はノッてくれなかったのに、っはははは!!」
『今の私はノリノリですよぉー! 海苔(ノリ)がびっくりしちゃうほどに!』
「あっはははははは!! ちょ、ほんとムリっ、くるしっ…へへ、はははは!!」
『…っ、ふ、ふふ、ふはははははっ、ぁははは、やば、私もツボっちゃっ…っははははは!』
目元に涙を浮かべながらお腹を抱えて笑う彼を見ていると、次第に私も釣られて笑い始めてしまう。
…暫く笑い合っていると、目前のいえの中からドタドタと大きな足音が聞こえて来た。
その足音が玄関まで来ると…
ッバン!!
大きな音を立てて勢いよく玄関は開かれた。
そこに立っていたのは、首に赤いスカーフを巻いた長身のスケルトンだった。
「ちょっと兄ちゃんッ!! 家の前でギャグ言って笑わないで!! 近所迷惑でしょッ!?」
「へ、へへ、よぉパピルス、ただいまー」
「おかえりッ!! …あ、知らない人間だ!! こんにちわッ!! 兄ちゃんのトモダチ?」
『あっ、こ、こんにちは…Aです。サンズさんにはお世話になってます…』
「こちらこそ!! 兄ちゃんがお世話になってます!!」
ぺこっと頭を下げられたので、私もぺこ、と頭を下げる。
…この子が、パピルスくん。
私はこの子に初めて会うけど、それでも私は…この子を知ってる。
この子が首を刎ねられる所を、私は見た。
怖くても、救えると信じて…最期まで立ち向かい続けた、思いやりと勇気に溢れた優しい子。
…かつて私が、助けられなかった子。
それでもこの子は、今ここで生きている。
こうして元気に生きている姿を見ると、どうしても涙腺が緩んでしまった。
あーぁ、年は取りたく無いなぁ…。
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春朧 - 素晴らしい作品をありがとうございます！！この作品を見つけてから何回も見返して楽しんでます！！これからも応援してます (2022年8月16日 11時) (
レス) id: 27ed0134a4 (このIDを非表示/違反報告)
名無し56929号(プロフ) - この作品に出会ってはじめから一気読みしました…一番好きな小説ですありがとうございます… (2022年6月16日 12時) (レス) @page23 id: bb65216783 (このIDを非表示/違反報告)
くろほたる(プロフ) - お陰様で新たな扉が破かれました。お話開く度一喜一憂してしまいます。sansの原作っぽさを再現しつつ違和感皆無に仕上げるの感動しました…！おじさん(主人公)かわカッコでsansもカッコかわなの凄く微笑ましいです悶えます…！！長文失礼しました。おかえりなさい…！！ (2022年5月29日 23時) (レス) id: c41e537264 (このIDを非表示/違反報告)
夢川(プロフ) - 黒曜楼乱さん» ただいまですー☺️ (2022年5月17日 23時) (レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)
夢川(プロフ) - モブくんさん» えへへ、遅くなってすみません☺️ (2022年5月17日 23時) (レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢川 | 作者ホームページ：http://ulog.u.nosv.org/item/da3d119d46aa3a420b503d00d3fa8e22/1637423635...
作成日時：2021年11月29日 14時
