【UT】SUNRISE/SUNSET2【男主】

白 ページ2

………。
鼻腔をくすぐる薬品のにおいで目が覚めた。
目の前には、真っ白なタイル貼りの天井がある。

『…知らない天井だ』

もうここは、あの回廊では無いのだろうか。
…あの夢は、終わったのだろうか。
何故だか妙に気怠い体を起こし、状況を確認する。
…私は真っ白なベッドに寝かされていた。
ベッドの左横には心電図と点滴、酸素吸入機が置いてある。
その酸素吸入機を見て初めて、私が今酸素マスクを付けていることに気づいた。

『そっか…救急車、呼んだんだっけ』

断片的ではあるが思い出せるのは、異常な程の熱と寒気、頭痛と目眩、そして吐き気。
そして、暗くなっていく視界に映る、通話中と表示された携帯の画面。

『…ん?』

ふと思う。

─今は"いつ"だ?

あれだけの長い夢を見ていたのだ。
きっと、それなりに時間が経ってしまっているのでは無いだろうか。

『ナースさんに聞こう』

ベッドのどこかに吊るされているナースコールを探し、周りを見渡した時だった。
ベッドの右横に、パイプ椅子の脚が見える。
そして、ピンクのスリッパ。
少しヨレた靴下と、それを履く真っ白な細い足。
黒の短パンに、ヨレたTシャツ、青いパーカー、ふわふわのミトンをはめた手。
ゆっくりと顔を上げると、パイプ椅子に座っていた彼と目があった。
彼は目を見開き、いつも笑みを浮かべている口角を今は下げ、今にも泣きそうな顔で私を見つめていた。

『…サンズさん』
「…っ、へへ、よぉ。随分と長い昼寝だったな、ねぼすけ」

彼はぎこちなく笑みを浮かべていたが、その声は酷く震えている。
泣きそうなのを我慢している声だ。

『私、どれくらい寝ていたんですか』
「…1週間。意識を失った原因も、高熱の原因も不明。目を覚ます見込みもなかったから、取り敢えず点滴打って今の状態を維持してたって感じだ」

…1週間…1週間!?
そんなに眠ってたのか私は!?
つまり…その間私は無断で店を閉めていたと…!?

「店なら大丈夫。オットーが代わりに休店の知らせを出してくれたぜ」
『そう、ですか』

流石オットーさん、ナイスカバーです…。
今度サービスでアイスミルクティーとミルフィーユケーキ用意しておきますね…。

「…お前、ずっとうなされてたよ。嫌な夢でも見てたのか?」
『…』

"ずっとうなされてたよ"。
…つまり彼は、ずっとこの部屋にいたと…?
ずっと私の様子を見ていたと、そう言うことなのか。

探→←主※cv変更2022/08/05

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