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G ページ41

……もう、どれ程の時間が経ったのかわからない。
私がこの回廊に閉じ込められてからもう何日も経過したのかもしれないし、もしかしたらまだ1時間も経ってないのかもしれない。
ここはずっと夕日の光が窓から差し込んでくるだけだから、時間の感覚がどうも狂ってしまう。
私は、彼らの殺し合い─正確にはサンズさんが子供を一方的に殺す様─を、床に座り込み、柱に背を預けながらボーッと眺めていた。
きっと今回も、あの子が…ニンゲンが殺されるのだろう。

『…はぁ』

もう、何故私がこんな夢を今も見させられているのかとか、そんな事はどうでも良くなってきた。
私の望みはただ一つ、早くこの夢から…ここから解放して欲しかった。
気が狂いそうなんだ…パターンは違えどいつも同じ結末。
血のにおいと、肉が焼けるにおいと、何かが燃える音と、何かが滴り落ちる音。
本当に、気が…狂いそうなんだ。

─…なんて、本当はもう狂ってたりして。

遠くで獣の頭蓋が何十発もの光線を撃つ音が聞こえる。
酷く騒がしくて、それが鬱陶しくて、目を閉じ耳を塞いだ。
早く、早く終われ。
終わってしまえ。

『…』

……静かになった。
またあの子供は死んだのだろうか。
耳を塞ぐのをやめ目を開き、音がしていた方向を見る。
そこには、ナイフで切り掛かってきたニンゲンを避けるサンズさんの姿があった。

「おーっと、そうは問屋が…」

当たり前のように彼はニンゲンの攻撃を避ける。
多分また、あの子が骨に貫かれるなり光線に焼かれるなりして死ぬのだろうなぁ、と考えていた、のに。

「っがああぁ゛ああぁ゛ぁああぁ゛あぁっ!!!!」

ニンゲンは初めて怒号を上げて、勢いに任せてサンズさんを追いかけ、彼の左肩から右脇腹に掛けて斜めにナイフを走らせた。

『「あ」』

サンズさんと、私の声が重なる。
切り付けられた衝撃で、サンズさんの軽い骨の体は後ろに飛ばされ、勢いよく柱にぶつかった。
負けた。
サンズさんが、負けた。
彼の胴体を斜めに走る大きな傷口と、口元から赤い液体が零れ落ちる。
……血だ。
血を流すモンスターを、初めて見た。
サンズさんは自分の傷口と、ニンゲンを交互に見た後小さく咳き込み…。

「は、はは…どうやら、ここまで…みたいだな」

諦めたように、笑みを浮かべた。

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モブくん_通行人A(プロフ) - 夢川さん» めちゃきついですねぇぇ (2021年11月29日 4時) (レス) @page48 id: f25d375883 (このIDを非表示/違反報告)
夢川(プロフ) - モブくん_通行人Aさん» イケおじには肉体的に死ぬ前に精神的に死んでいただきます! 通行人Aさんにはイケおじが壊れていく様を見ていただきたいので、死なないでくださいね! (2021年11月28日 21時) (レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)
モブくん_通行人A(プロフ) - オァ…キチィヨォ…早く救急車…イケオジが死んじまう…それより前におれが死んじまう… (2021年11月28日 19時) (レス) @page39 id: f25d375883 (このIDを非表示/違反報告)
夢川(プロフ) - モブくん_通行人Aさん» アッワッアッ…アリガトウゴザイマs…楽しんでイタダケテ何よりでs...頑張って続き書いてイキマs... (2021年11月27日 15時) (レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)
モブくん_通行人A(プロフ) - アッアッアッ好きでs…ムリ…尊…い…楽しく読んでます頑張ってくださ…(絶命) (2021年11月27日 15時) (レス) @page28 id: f25d375883 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夢川 | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/item/da3d119d46aa3a420b503d00d3fa8e22/1637423635...  
作成日時:2021年11月21日 1時

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