謝 ページ32
「…ほんと、アンタには色々迷惑かけてばかりだな」
ぽつり、今にも消えてしまいそうな声で彼が呟く。
「俺はアンタに助けられてばかりなのに、俺はなんも返せなくて…ほんと、ごめん」
元々小さな骨の体を、更に縮こまらせてしまうサンズさん。
…別にそんな気にする事ないのにな、なんで彼は誰かに助けられる事をこんなに気にするんだろう。
…もしかして、もしかしてだけど、彼は頼れる人、助けてくれる人が今まで居なかったのかな…。
それなら気にしちゃうのも、まぁわからなくもないけど…。
「…このコーヒー、すごく美味いよ」
居心地が悪いのだろうか、骨の素足をすりすりと擦り合わせながらコーヒーの感想を伝えられる。
…彼は、この子は、一体どれほど大きなものをその小さな背中に背負っているのだろう。
─俺はお前を絶対に許さない。
先程の森林公園での彼の言葉を思い出す。
あの子とサンズさんの間に何があったのかは知らない、わからない。
でも、もし許されるのなら、私の家にいる間くらいは…その大きな物を下ろして、休んで欲しい。
彼を驚かせないようにゆっくりと、彼のマシュマロのように真っ白な頭に手を乗せて優しく撫でる。
「…っ、は、はは」
彼の声が震える。
彼に手渡したカップの中に、ぽちゃん、ぽちゃんと透明な雫が落ちていった。
「なぁ、なんで…なんでAは、そんなに優しいんだよ」
わからない、理解できないと言いたそうな声音で問い掛けられる。
私は彼の頭を優しく撫で続けながら答えた。
『私は優しくなんかないですよ。私がただそうしたかったからそうしただけ。…言うなればエゴです。貴方には私のエゴに付き合って貰っているだけなので、そんなに気にしなくても大丈夫ですよ』
できるだけ優しい声音で、まるで子守唄を歌うように言葉を紡いだ。
それがおかしかったのだろうか、それとも安心したのだろうか、彼は小さく笑い力なく「そっか、そっか…」と言うと、ゆっくりと私にもたれかかってきた。
小さな骨の両手からカップが滑り落ちそうになったのを見て、咄嗟に左手でカップを取る。
…どうやら彼はまた眠りに落ちてしまったらしい。
2つのカップをソファーの前のローテーブルに置き、サンズさんの小さく軽い体を抱き上げ寝室へと向かった。
起こさないように細心の注意を払い、彼をベッドの上に横たえ掛け布団を肩まで掛ける。
『おやすみなさい』
結局、私と何処で出会ったのかを彼から聞けなかったのが、唯一の心残りだった。
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モブくん_通行人A(プロフ) - 夢川さん» めちゃきついですねぇぇ (2021年11月29日 4時) (レス) @page48 id: f25d375883 (このIDを非表示/違反報告)
夢川(プロフ) - モブくん_通行人Aさん» イケおじには肉体的に死ぬ前に精神的に死んでいただきます! 通行人Aさんにはイケおじが壊れていく様を見ていただきたいので、死なないでくださいね! (2021年11月28日 21時) (レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)
モブくん_通行人A(プロフ) - オァ…キチィヨォ…早く救急車…イケオジが死んじまう…それより前におれが死んじまう… (2021年11月28日 19時) (レス) @page39 id: f25d375883 (このIDを非表示/違反報告)
夢川(プロフ) - モブくん_通行人Aさん» アッワッアッ…アリガトウゴザイマs…楽しんでイタダケテ何よりでs...頑張って続き書いてイキマs... (2021年11月27日 15時) (レス) id: f5c230c4ae (このIDを非表示/違反報告)
モブくん_通行人A(プロフ) - アッアッアッ好きでs…ムリ…尊…い…楽しく読んでます頑張ってくださ…(絶命) (2021年11月27日 15時) (レス) @page28 id: f25d375883 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夢川 | 作者ホームページ:http://ulog.u.nosv.org/item/da3d119d46aa3a420b503d00d3fa8e22/1637423635...
作成日時:2021年11月21日 1時