【UT】SUNRISE/SUNSET【男主】

帰 ページ29

腕の中で眠るサンズさんが目を覚さないように慎重に、かつ早い足取りで自宅であるマンションに着く。
エントランスでパスワードを入力し中へ入り、階段を登ろうとしたがそこで足を止めた。
日頃は運動不足解消の為に階段を使っているが、今回はサンズさんがいる…階段を登る振動で起こしてしまったら申し訳ない…。
踵を返してエレベーターに乗り、自分が住んでいるフロアのパネルを押す。
ヴーン。
エレベーターの駆動音に続いて、微かな揺れと重力を感じ数秒後、目的のフロアに着く。
足早に自分の部屋の扉の前に立ち、ルームキーで鍵を開け中へ入った。
後ろ手に扉の鍵を閉め、一息つく。
…あれ?

『これ、俗に言う"お持ち帰り"ってやつ…?』

…ハッ!?
何を言ってるんだ私は、いくら疲れてるとは言え言っていい冗談と悪い冗談があるだろうに!
ぷるぷると頭を横に振って邪な考えを振り落とす。
自分の靴を脱ぎ、サンズさんのピンク色のスリッパを脱がせ揃えて置く。
リビングにたどり着き、彼をソファへ横たえようとしたがその手を一度止める。
彼は今彼自身の吐瀉物で少しばかり汚れてしまっている…なら、汚れたままソファに寝かせるのは流石に失礼では?
中腰というの姿勢のまま暫く固まっていると、頭の両側に天使の私と悪魔の私がポフンと現れた。
ああ、これ私疲れてる、それもかなり。

『着替えさせてあげるべきですね、彼は仮にも客人なのですから』
『んで着替えさせるついでに体を触っちまえ。本人からお前なら良いってお許しが出てるんだからよ』
『それはAに下心がないからです! 下心を出した時点でAはパーティー会場の駄目な人達と同じになってしまいます!』
『いいじゃねえか、元々人間は邪な生き物なんだから。どうせコイツは眠ってる、少しくらい良いだろー?』

私の頭の両サイドでピーヒャラピーヒャラ騒ぐ天使と悪魔(幻覚共に幻聴)。
えぇいうるさいうるさい、決めるのは私だ、消えろ消えろっ!
プルプルと頭を振り、天使と悪魔(幻覚幻聴)を振り払う。
…取り敢えず、着替えさせなきゃ。
彼をソファに下ろすのはやめ、踵を返して脱衣所へ向かった。

脱→←縋※嘔吐描写有り

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