室町ラブロマンス (ページ36)

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その表情に無事を望むページ36

一年は組が、最近旗色の悪いツユドキ城に捕まってしまったと連絡が入ったのは、つい半刻ほど前だった。

1年い組、ろ組と4年生は学園の警備及び、もしもの時の為に学園に残ること。

2年生と3年生は先生方数名と共に状況の確認、報告をすること。場合によっては上級生の援護もすること。

5年生と6年生は一年は組を救出すること。

学園長先生から告げられたのは以上の通りだった。

それに加え、何処から聞き付けたのか、タソガレドキの組頭である雑渡昆奈門さんと、フリーの売れっ子忍者である利吉さんもは組救出を手伝ってくれることになった。

旗色の悪いツユドキ城は、戦好きの城ではあるが、城主がはっきり言って使えない。
ほぼ忍者隊が中心となっている城である。

「ここからは、二手に別れよう」

利吉さんと雑渡さんは一度立ち止まり、振り向く。

利吉さんと共には組救出に向かうのが、立花先輩、中在家先輩、潮江先輩、私と八左ヱ門。

そして、雑渡さんと共にその護衛に回るのが、食満先輩、七松先輩、三郎、雷蔵、兵助だ。

伊作先輩は、怪我に即座に対応できるよう、集合地点で待機する事になった。

「ツユドキは、知ってると思うけれど忍者隊が中心となっている。そこまで強いわけじゃないけど、弱いわけでもない」

私は、学園で過ごしてきた皆を信じている。
でも、覚悟はしておいて欲しい。

利吉さんの瞳は、恐れを抱くほど澄んでいて光を通すことは無い。

これが、プロの忍びなのだと痛感した。

普段は滅多に立ち入ることの無い、境界線。
ここから先は、プロの世界と同様である。

誰もが神妙な面持ちで、あの勘右衛門すら真面目な顔つきだ。

『どうか、ご無事で』

喋り出さない空間。
最初に声を出したのは私だった。

「当たり前だ」

食満先輩はそう言って漸く笑う。
それに皆安堵して、それぞれ互いのリーダーの後を追った。

去り際に、三郎が私の肩を優しく、でも何処か力強く叩く。

「信じている」

ああ、そうだよ、まだ、死ねない。

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