その栞は愛らしい ページ35
「ありがとう、雷蔵。面白かった」
「それは良かった。明日また次の本持ってくるよ」
雷蔵に借りた本を手渡して、貰った栞を机の上に置く。
次に雷蔵の顔を見ると、如何にも不思議だという表情をしていた。
「何かあったか?」
「いや、三郎が栞を持っているだなんて、珍しいなって」
「貰い物だ」
「へぇ」
相手なんて聞かなくてもわかってる。
そう言いたげな顔は、代わりに興味のなさそうな声を出した。
雷蔵はそのまま栞の元へ足を進めて、手に取ってまじまじと見つめている。
「この花ってもしかして、桔梗?」
「あぁ」
何か変な箇所でもあっただろうか。
そう声をかけようとすると、雷蔵が先に口を開いた。
「…桔梗の花って、何だか愛らしいよね」
「どういう意味だ?」
「別に。意味なんてないよ」
そう言って笑う雷蔵は、何処か楽しそうだ。
そんな雷蔵に、自分も笑い返す。
「まったく、雷蔵は何を考えているかわからない」
「お互い様じゃないか。それより、本の感想を聞かせてよ」
「勿論、そうしたいところだ」
類は友を呼ぶというか、なんというか。
私の周りにいるのは常にそんな奴か、それとは真反対の所にいる奴だ。
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唯(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (2019年1月20日 15時) (レス) id: b278546180 (このIDを非表示/違反報告)
陽(プロフ) - hina hihoho2さん» ゆっくりしていってね (2018年10月20日 22時) (レス) id: 47a6f04f33 (このIDを非表示/違反報告)
陽(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます!! (2018年10月20日 22時) (レス) id: 47a6f04f33 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - とても面白いです!! (2018年10月17日 12時) (レス) id: d085377e62 (このIDを非表示/違反報告)
hina hihoho2(プロフ) - どうもー!ひほほでーす!気になって来てしまった…。 (2018年10月10日 20時) (レス) id: 74a6d1071f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽 | 作成日時:2018年8月13日 22時