検索窓
今日:17 hit、昨日:0 hit、合計:20,244 hit

その嘘は一体 ページ34

部屋で本を読んでいると、引き戸が開く。


この聞き慣れた足音は、きっと彼奴のものだ。



『三郎、いる?』


「聞かなくてもわかってるじゃないか」


『まぁね。本読んでるの?』



ひょこっと顔を覗かせたAは、そのまま私の手元にある読みかけの本を覗き込む。

すると、忽ち笑顔になる。

その笑顔に、多少の胸の高鳴りを覚えた。



「雷蔵に勧められた本だが…何かあったか?」


『いや、丁度いいと思って』



そう言って、懐に手を伸ばしたAは、何かを持って私の目の前にそれを出した。



『さっきまでおばちゃんにお使いを頼まれててさ。

そしたら、小物屋の店主に声を掛けられたから買っちゃった。これあげるよ』



それは栞だった。
控えめな薄紫が綺麗な桔梗の。


Aが私にお土産だなんて、明日は雪でも降るんじゃないか。



「…何か企んでるのか?」


『失礼だな、私にもお土産を買ってくる善意の心くらいあるっての』



いらないの?


と、不安げに見つめるその瞳に勝てるわけないので、有難く貰うことにした。



「なんでまた桔梗なんだ?」


『なんとなく』



嘘だ。


でもそれを口にしない代わりに、そうかと一つ返すとAは自分の部屋へと戻って行った。



「…一体あいつは何を隠しているんだ」



早速貰った栞を本に挟んで、勘右衛門と兵助の元へ向かう事にした。









.

その栞は愛らしい→←その感情は初めて



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
42人がお気に入り
設定タグ:忍たま , 鉢屋三郎 , 恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (2019年1月20日 15時) (レス) id: b278546180 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - hina hihoho2さん» ゆっくりしていってね (2018年10月20日 22時) (レス) id: 47a6f04f33 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます!! (2018年10月20日 22時) (レス) id: 47a6f04f33 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - とても面白いです!! (2018年10月17日 12時) (レス) id: d085377e62 (このIDを非表示/違反報告)
hina hihoho2(プロフ) - どうもー!ひほほでーす!気になって来てしまった…。 (2018年10月10日 20時) (レス) id: 74a6d1071f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2018年8月13日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。