室町ラブロマンス (ページ29)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:20,231 hit

そのアタックは絶対痛いページ29

時刻は夕暮れ時。
只今、団子忍術学園に通っている生徒、先生は学園長先生の庵に来ている。

私は縁側に座っていて、右隣には三郎がいる。

他の5年生は下級生と共に追いかけっこやら、先輩と一緒にバレーやらをしていて、きっと疲れきった顔で帰ってくるだろう。

さて、食堂では怒っているように見えた三郎だが、まるで先程のことがなかったかのように自然と振舞っているのだ。

それは他学年がいるからなのか、それとも私達の気の所為だったのか。

『三郎』

「何だ？」

『怒ってたんじゃないの？』

「まさか。怒るわけないだろう」

『嘘だ、怒ってた』

団子を一つ口に含むと、三郎はこちらを向いて笑う。

何だ、その笑みは。

「まぁ、確かに怒っていたけど別にお前達の事じゃない」

心配するな。

そうしてまた、この間の様に頭に手を置くのだ。

きっとそれは嘘なんだろうなぁと思い、庭を眺めると、八左ヱ門の顔面に七松先輩のアタックが決まった。

『頭に手置くの、好きだよね』

「高さが丁度いいからな」

『ふうん。あ、八左ヱ門、鼻血出してるじゃん』

「七松先輩だからな。寧ろあれだけで済んだことに驚きだ」

数馬が八左ヱ門に駆け寄り、七松先輩の元には伊作先輩が駆け付ける。

お説教の時間かな。

『私がアタックを受けたら、ただでは済まなさそうだ』

「当たり前だ。お前は女なんだから」

『じゃあ、私がアタックなりなんなり受けそうになったら、三郎は守ってくれるの？』

「その時になってみないとわからんな」

そう言い捨てると、三郎は八左ヱ門をからかいに縁側から降りて行った。

それも嘘だ。

お前は、絶対私を助ける。

そして私はまたお前に借りを作る。

.