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その冷静さは誰のせい ページ27

「三郎、顔に出すぎ」



勘右衛門を呼んで食堂から出ると、そう苦笑いされた。

はて何の事だろうか。

何が顔に出ていたのだろうか。



「何の事だ?」


「隠さなくても大丈夫だって、俺口は堅い方だから」



先程とは打って変わってニッと笑う勘右衛門だが、彼には絶対秘め事を教えたくないとそう思った。



「本当にわからないんだが…」


「…本気で言ってる?」


「こんな事で嘘を付いても徳などないだろう」



勘右衛門の瞳をジッと見つめていると、一つ深い溜息をついた。

それは何のため息なのか。
勘右衛門のことは尽くわからない。



「Aが立花先輩と潮江先輩に相談事したの、怒ってるだろ。それだけ惚れてるなら早く告げればいいのに」


「ちょっと待て勘右衛門」


「……………ちょっと待ったよ」



お決まりの返しに、だーっとずっこける。

そうじゃなくて、私が、いつ、あいつの事を好きだと言った?

というか、私はAが好きだったのか…?



「Aに思いを馳せたことは1度もないぞ?」


「またまたぁ、ご冗談を」


「こればっかりは冗談じゃない。本当だ」



その言葉を聞くと勘右衛門は、嘘でしょ、と今にも叫び出しそうな顔でこちらを見てきた。

そんなに意外だったのだろうか。

生憎だが、私はあいつを幼馴染み以外の目で見たことは無い。



「てっきり三郎はAが好きなのかと…」


「でも、勘右衛門のお陰で私は気づいたかもしれない。多分私はあいつが好きだ」



いや、多分じゃなくて、絶対。


そうじゃなきゃ、昨日から胸のあたりを渦巻いていた、この黒くモヤモヤした感情の正体がわからないままだ。


これは所謂嫉妬の類のものなのだろう。

ようやく合点がいった。



「三郎ったら、冷静ね」


「どこかの後輩の冷静が移ったようだ」



太い眉を垂れ下げ、これで良かったのかなぁ、と再び苦笑する勘右衛門。


重大なことに気付いたのに、やけに冷静なのは実は自分でも驚きだ。









.

その2人は面倒くさい→←その意図はわからない



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(プロフ) - とてもおもしろいです。続きが気になります! (2019年1月20日 15時) (レス) id: b278546180 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - hina hihoho2さん» ゆっくりしていってね (2018年10月20日 22時) (レス) id: 47a6f04f33 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ゆいさん» ありがとうございます!! (2018年10月20日 22時) (レス) id: 47a6f04f33 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - とても面白いです!! (2018年10月17日 12時) (レス) id: d085377e62 (このIDを非表示/違反報告)
hina hihoho2(プロフ) - どうもー!ひほほでーす!気になって来てしまった…。 (2018年10月10日 20時) (レス) id: 74a6d1071f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年8月13日 22時

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