室町ラブロマンス (ページ23)

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その答えはすぐにページ23

『私は、きっと三郎の事が異性として好きなんだと思います』

「思いますって、お前なぁ…」

『…確信が持てないのは、自分の気持ちがわからないからなんです』

私の話を聞いて溜息を吐く潮江先輩と、表情を少しも崩さない立花先輩。

どうやらこの2人はそれぞれの答えを持っているらしい。

あのなぁ、と呆れ顔で1番先に話し始めたのは潮江先輩だった。

「すぐに答えを探そうとしなくていいんだよ。

確かに俺は恋心なんじゃないかとか言ったが、それはあくまで1つの意見にしか過ぎん」

「そうだ。卒業まで時間はまだあるんだ。ゆっくり、お前のペースで答えを探せばいい」

続けて話す立花先輩も、潮江先輩も、二人とも優しい顔をしていて。

今まで考えていたことが、随分とちっぽけな気がした。

私が三郎に恋していようと、この思いを告げない限りは、距離は変わらない。

「第一、自覚してから一度も鉢屋とまともに接していないんだろう？」

「それじゃあ、答えが出るはずも無いな」

『はい、それもそうですね』

私も、笑顔で返すと廊下からパタパタと賑やかな足音が聞こえる。

人数でいうと、きっと、

「ほれ、迎えが来たぞ」

『ありがとうございました』

「何かあったらまた来ればいい。私も文次郎も、歓迎するぞ」

最後に頭を撫でられて、次に開くであろう引き戸を見つめる。

「5年ろ組、鉢屋です。Aはいますか？」

「あぁ、いるぞ。随分すきっきりした顔でな」

開いた引き戸の先。

そこには思った通りみんなの姿。

みんなの姿を正面から見るのは、久しぶりの事のように思えた。

「A、飯食いに行くぞ！」

『よし、行こう！』

先輩の部屋を後にして、いつも通りみんなより少し後ろを歩く。

すると、三郎も下がって来て。

さっきの今で、自然と胸が高鳴る。

「A」

『なに？』

「おかえり」

頭に手を置かれる。

やっぱり、私はこいつが好きなんだろうなぁ。

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