影山君は無愛想【影山飛雄】 (ページ2)

今日:23 hit、昨日:22 hit、合計:270,509 hit

影山君は愛想がないページ2

始めの席は出席番号順だ。

私的には当たりだと思う。

横の男子はうるさいけど楽しいし、

前の子は明るくて親しみやすい。

後ろの子は静かだけどたまに言うことが面白くって。

そんな席だったからちょっと席替えが憂鬱。

でも前の子はラッキーなことに方向が同じだから登下校は一緒だ。

だから一人になったりはしない。

そこは安心できるけど、授業は仲良しな子が近いほうが楽しいに決まってるのだ。

先生｢じゃあくじ引きに来いよー｣

また一緒になれたらいいね、なんて言いながらくじの列に並ぶが、

一緒にはなりたいけど友人の輪も広げたい。

なんて欲をだしつつもくじを引くと左のほうの席だった。

既に十数人はくじを引き終えていて、

どこになった?

なんて声にあっち～と言いながら席に着く。

隣の人がもう座っていたので声をかけようとしてギョッとした。

顔を前後に揺らしながら白目を剥きうとうとしている、

彼は影山君。

うとうとと前に倒れそうになっては少し半目になって起き、

そしてまた顔か前後に揺れ前に倒れそうになっては半目になって起き、を繰り返している。

さすがに放っておけば机に頭をぶつけそうだったので、

あ｢影山君｣

と声をかけた。

影｢……?…zzz｣

半目になったがまたすぐにうとうととし始める。

あ｢影山君｣

今度は肩を叩いてみる。

影｢…ﾋﾞｸｯ｣

体が少し動いて影山君は目を覚ました。

あ｢おはよう。隣になった苗字Aだよ。よろしくね｣

寝起きで悪いとは思うけど自己紹介をさせてもらった。

もうみんな席に着き始めていたので手短に済ましておきたかったのだ。

影｢…っす｣

彼はそう言って会釈すると頬杖をついて窓のほうを向いた。

あまりにも短い返事にそっぽを向いてしまったようにも思えたので、

何か気に触ったのかと心配になり顔を少しのぞき込むと彼は寝ていた。

そんなに眠かったのか。

少し悪いことをしたけど…

それにしても愛想は悪すぎるだろう。

少しくらいニコッとしたらいいのに…。

気がつくと前も後ろの席も埋まっていた。

前の子はほんわかとした雰囲気の子で後ろの子はなんと登下校を一緒にしている子だった。

2人ともに挨拶をして少し話をするともう1時間目が始まろうとしている。

眠そうな数学の先生が教団に立ち｢号令｣と声をかけた。

ー影山君は愛想が悪い。