冷たい店員さんと私の関係 3 (ページ7)

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98、気が狂いそうページ7

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｢は、はろぉ…元気にしてるんだよ…｣
｢アン！｣
｢できるだけ早く帰ってくるからね…｣

｢A。いい加減行くぞ｣

おはようございます。零さんの家の玄関から、現在の状況をお伝えします。

(零さんの)愛犬ハロをぎゅっと抱きしめたまま降ろさない私と、そんな私の首根っこを掴んで引きずろうとする零さん。

私は動物が好きだ。
零さんと初デートした時に寄ったペットショップで、『いつか、飼えたらいいね。』って話していたけれど…まさかこんなに早く願いが叶うとは！

そしてやはり私には " 親バカ " の気質があるらしい。

｢何日も離れるわけじゃないだろ、バカ。……ハロ、行ってきます｣
｢アンアン！｣

零さんがハロを優しく撫でて、私から取り上げた。あぁ…なんてことを。
そっと床に降ろすと、ハロは大人しくお座りをする。…ﾝﾝｯ、お利口さん！

｢ハロ……ぐえっ、｣

無意識のうちに撫でようと手を伸ばしたところでいい加減痺れを切らした彼が、『ほら早くしろ』と言いながら私のお腹に手を回して無理やり外へ連れ出した。

｢全く。お前よりハロの方が何倍も聞き分けがいい｣
｢うぇぇ……｣

私を助手席に押し込んでから、運転席に座った彼は大きなため息をつきながらそう言った。
そして素早くエンジンをかけて車を動かし始める。

動物が家族になるって、とても素敵な事だ。……冗談ではなく、『世界が変わる』。
ハロが来てからたった2日程で心からそう思うくらいには、あの子の存在が大きいんだ。そして

……だからこそ、困ったことが。

｢まさか、お前が勉強に集中出来なくなるとはな｣
｢……はい。ずみまぜん。私もびっくりしました｣

クスクスと笑う彼に、こうべを垂れて謝る。

零さんに再会するまで、『勉強だけが生きがいでした！』と胸を張って言えるこの私が。
ハロが小さく鳴いただけでも瞬時に集中が途切れるのだ。

あの子はとっても賢い子だから、私が勉強をしていると基本静かにしてくれる。けれど、それでも寂しくなった時や遊んで欲しいときはどうしても " 構って " モードになってしまう。

ハロがひとたび『アン！』と声を上げれば、私はすぐにあの子を抱き上げてわしゃわしゃ。

なんてことを繰り返していたら、零さんにデコピンを食らった。
彼が家にいれば、私の代わりにハロを抱っこしていてくれるから大丈夫なのだけれど……
『俺が居ない時を想像すると、気が狂いそうだな』と言われた。

うん、分かる。わたしが1番狂いそう。