128、予定は未定 ページ37
並んでカウンターに座る私とコナンくん。もう何度目になるのかな、この状況。
｢あっ、そうだ｣
安室さんのケーキに頬を緩めていた時、隣の彼に相談するつもりでいた事を思い出した。
｢昴さ…、沖矢さんにお礼をしたいんだ。彼、いつなら都合いいか…コナンくん、分かる？｣
名前の呼び方を変えたことに少し首を傾げたコナンくんだったけれど、すぐに切り替えたように口を開く。
｢昴さんならいつでも大丈夫って言いそうだけど…Aおねぇさん、いつ空いてるの？｣
｢私は休日でも、放課後でも…いつでも大丈夫｣
｢じゃあ、次の休みの日にボクと一緒に行く？｣
コナンくんと一緒なんて嬉しい！
目を輝かせて大きく頷きかけた所で、鋭い視線を感じて固まる。
そんな殺意高めの目でみないで…。私が悪かった。
｢あっ、ちょっと待ってね…安室さん、次の土曜空いてる？｣
｢……｣
｢じゃあ、日曜｣
どちらも回答はなく、その代わりに目を伏せた彼は深いため息を零した。
うん、ですよね……零さん、毎日忙しいもんなぁ。本当にお疲れさまです。
…というか。
｢安室さんの予定に合わせてたらいつまで経ってもお礼に行けないよぅ…｣
｢……｣
こういうのは、早く行っておくに越したことはない。
彼にギロリと睨まれたけど怯んだりなんかしないもん。そもそも、ついて行くなんて言い出したのは安室さんの方だし…
コナンくんも一緒に来てくれるし。 " 勝手に " ではなく彼の目の前で予定を組んでいるし。
…なんてつらつらと言い訳を頭で組み上げた。
つまり、 " 仕方ない " 。
｢安室さんも来る？｣
｢ん〜。一緒に行くって言ってたけど、無理そうだから気にしなくていいよ。コナンくん｣
｢A｣
隣に座る彼に向き直り、ニッコリと笑みを作ってそう答えると 背後から低い声で名前を呼ばれた。
私の肩越しに安室さんを見たのだろうか…コナンくんが表情を強ばらせて私に視線を移す。
｢……Aおねぇさん、後ろにすごい怒ってる人いるけど｣
｢コナンくんは気にしなくていいからね｣
｢何だって？…A｣
う、うわぁ…本当に怒ってるね。
家帰ったらまたお説教かな…それは嫌だなぁ。
｢ま、待って！リスケしよう？Aおねぇさん！昴さん、お礼が遅くなったって怒るような人じゃないから……！｣
焦ったようにそういったコナンくんは、急いでスマホを取り出した。
こんなに動揺させるって、後ろの人は一体どんな顔してるのさ。
怖いから絶対振り返らないけど。
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作者名：re
| 作成日時：2021年2月21日 12時
