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126、寒さの代償 ページ35

ーー

すっかり日が落ちるのも早くなり、余計に寒さを感じる夕方。
暖かい空気を求めるように急いでポアロへ足を踏み入れると、カウンター席に1人で座るコナンくんを発見した。

「こーなんくん!」
「Aおねぇさん、こんにちは」

オレンジジュースを飲んでいたらしいコナンくんは、私を見てニコッと笑った。
は〜かんわいい。一日の疲れが癒される。

「この前は本当にありがとね。助かったよう……お陰でハロも元気です」
「どういたしまして!風邪引かなかったみたいで安心した」

ホッとしたようにそう言われてしまえば、意図せず頬が緩んでしまうのは仕方の無いことだ。……ニヤニヤする自分の姿を想像したら気持ちが悪いけれど。

「ほんと……この子は!かっっわいいなぁ!もう!!」

小さなその身長に合わない、カウンターのイスに座る彼を抱き上げて、ぎゅーっとハグをした。
子供らしい温かな体温が冷えた身体に染みる。めっちゃ染みる……!

サラリーマンが欲する仕事終わりのビールってきっとこんな感じなのだろう……知らないけど。


「ちょ!Aおねぇさん!」
「ん〜なぁに?」

抱き締め続ける私に、コナンくんが慌てたように声を上げる。
恥ずかしがって、かわいいなぁ。

「あっ、安室さんみてるから…」
「ん?……ぐぇっ、!」

首に巻いたままのマフラーを、後ろから思いっきり引っ張られたと気づくまでには少しの時間が必要だった。……っ、苦しいな!!

コナンくんをイスに戻し、瞬時にマフラーを掴んで首にゆとりを作りながら後ろを振り返る。

「し、しんじゃうって…!!」
「そんなにヤワじゃないだろ、お前」

ふん、なんて意地悪そうに笑った安室さんは、涙目の私を見てやっと手を離してくれた。
殺す気か……

すぐにマフラーを外す。
お返しに彼の首にキツく巻いてやろうと思ったら、私の思考を読んだのか手首を掴まれて一瞬で阻止。悔しい!

「もー!!」

「全く……子供みたいなことするな、バカ」
「私のセリフだー!」
「店の中なのに、大声で騒ぐのも…子供だろ?」

「ぐ、ぬぬ!誰のせいだと…っ」

せっかくコナンくんに癒されてたのに。
安室さんとバチバチに言い合っていたら、後ろから小さなため息が聞こえた。

「……ねぇ、2人は家でもそんな感じなの?」
「ん?」

予想外の言葉に、首を傾げて振り向く。
彼に手首を掴まれたままなので、動くことが出来ない。早く離してください…。

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作者名:re | 作成日時:2021年2月21日 12時

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