冷たい店員さんと私の関係 3 (ページ4)

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95、もふもふちゃんページ4

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とある、よく晴れた昼下がりの午後。
こんな休日の昼間はJKがポアロに溢れかえるため、私は朝からずっと彼の家で勉強をしている。賢明な判断。

本日の零さんはポアロから帰宅すると、そのまま車の洗車を始めた。暑さがだいぶ和らいできて、晴れていると気持ちがいい。

窓から少しだけ見える彼の姿を覗いて、クスッと笑った。毎日忙しく過ごす彼を知っているから…この何でもない日常って、すごく幸せ。

｢さて。何作ろうかな｣

私は一旦勉強をストップし、バイト終わりの彼に軽食を作り始めた。

…のだけど。

｢…A｣
｢アンアン！！アン！｣

台所に立つ私に声をかけたのは、洗車から戻ってきた零さんと…

彼に抱えられた

｢白い…もふもふ…？……か、かわっ…｣

その絵面は、まさにこの世の天国だった。
彼とワンコを交互に見ては、ニヤける口元を隠す。

零さんの褐色の肌とは対称的な白色のワンコ。
どちらの瞳も零れそうなほど大きく、きゅるんとしていて……

｢…かっ可愛い！｣
｢おい、A。なぜ俺を見ながら言う｣

｢ここ数週間くらい……家の周りでよくこいつを見かけてた｣
｢うーん、野良犬かなぁ？首輪は付いてないみたいだし｣

家に入れて貰えたのが嬉しいのか尻尾をブンブン振りながら、座り込んだ私の太ももに前足を乗せるもふもふちゃん。……っ、かわ…！
優しく撫でながら首の辺りを確認するも、首輪を付けていた形跡などはない。

私は基本的に零さんの家の周りを歩き回らない。ここに来るのは、ほぼ彼の車で連れられた夜だし……だから、この子と会わなかったのかな。(外を出歩こうとするなり、彼に危ないからやめろって怒られる)

私がもし、こんなかんわいいワンコを発見したら…一瞬で連れて来てしまいそうだ。…危ない危ない。

｢あぁ。気になって調べたが、迷い犬の可能性は無さそうだ。……何度か、わざと怪我をして俺の所へ来てる｣
｢えっ…｣

驚いて顔を上げれば、零さんは少し悲しそうに笑っていた。

｢怪我をすれば手当してくれるって、分かってるんだろうな｣
｢……｣
｢俺はこんな仕事だし…飼うつもりは無かったんだが｣
｢零さん…｣

私の横にしゃがみ込んだ零さんは、もふもふワンコをそっと撫でた。
気持ちよさそうに『アン！』と鳴くその姿を見て、胸のつかえが取れたように……優しく微笑む。

｢また怪我をされるのも、困るしな｣
｢だね｣

2人でクスクスと笑いあうと、もふもふちゃんが目を細めてまた鳴いた。