67、幸せをくれる人 ページ25
「ちょ…まだ仕事だったんでしょ…?本当に抜けちゃって大丈夫なの?」
「今以上に重要な用事なんてこの世に無いんで」
「んなわけないでしょ!!サボり魔ー!」
「何とでも。」
本当にバックヤードで帰り支度を済ませやがった彼に、ズルズルと手を引かれるまま外を歩く。
" 梓さん " と呼ばれていた店員さんはめちゃくちゃ楽しそうな顔で『お疲れ様でした!!』なんて言ってたけど…
普通は帰しちゃダメでしょ!
「…はぁ」
「ため息をつくと幸せが逃げますよ」
私の手を引く、降谷の後ろ姿。金色の髪が陽の光に照らされて綺麗…
こんな風にしていると、さっき気持ちを伝えてしまったのは夢だったんじゃないかと思う。
……喫茶店内で告白だなんて恥ずかしすぎて、寧ろ夢であってほしいけど。
降谷はいつも通りなのに…私ばっかり真っ赤になって慌てて、なんかずるい。
「……ため息で幸せが逃げるなら…君が、それ以上の幸せを私にくれたらいいのに…」
「あげるよ」
「…っ」
意外な返事に息を詰めた直後、彼が足を止めた。
あぁ、君の車ね…
「と、トオルクン…」
「乗って?」
「…」
「早く。」
「あだ…っ!ぅおーい!」
助手席のドアを開けた降谷を見つめていたら、痺れを切らせたらしい彼に無理やり押し込められた。
もはや拉致。
…相変わらず私の扱いが雑だな、おい。
降谷が運転席に乗った後も、エンジンをかけようとしない車内は酷く静かで。
彼の顔を見るのも恥ずかしくて…どうしたらいいか分からない私は、手元に視線を落として耳障りな自分の鼓動を聞いていた。
「A」
「…な、なぁに」
「こっち向いて」
「やだ…」
「A」
顎を掴まれて、強制的に絡む視線。
降谷の頬は、いつもより赤く見えて…
胸がきゅんとした。
照れてるの?
「もう一度、聞かせてくれるか?」
「な、にを…」
「さっきの言葉。…安室透に、じゃなくて… " 僕に " 聞かせて?」
君は…ずっと。
私に素直になろうと、頑張ってくれてたんだね。
潜入用のトオルクンまで使って。
…それなら。
私だって、素直にならなくちゃ。ね。
「わ、たし…ね」
「うん」
「好き、だよ。本気で」
「…」
「ずっと前から、君が…大好き」
一言一言、ゆっくり。
降谷に、私の気持ちが伝わるように。
『れ、零くんが…だいすき』。
勇気を出してそう言った直後、彼の顔が真っ赤に染まった。
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re(プロフ) - 景璃さん» 景璃さん、コメントありがとうございます…!!萩原さんには申し訳ない作品で…😭作者も書きながら「萩ぃぃぃ!😭😭ごめぇぇん!😭😭」と思っておりました…🤣 こちらこそ、最後までお付き合い頂き、感謝です…!✨ (2023年3月9日 23時) (レス) id: 78ebe0a207 (このIDを非表示/違反報告)
景璃(プロフ) - 完結おめでとうございます。お疲れ様です。私は降谷オタクですし、物語も大好きなのですが、一言だけ言わせてください。萩ぃぃぃぃお前ぇぇぇ😭😭😭😭😭😭以上です。素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月9日 17時) (レス) @page27 id: b555acc3f2 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - まみこさん» まみこ様、最後までお付き合い下さり、コメントまで本当にありがとうございます!沢山褒めて頂いて、涙が出るほど嬉しいです…😭✨夢小説を書いて良かった!と心から思えました(*^^*)✨温かなお言葉、本当にありがとうございます! (2023年3月6日 9時) (レス) id: 78ebe0a207 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - コメント遅くなりましたが、完結おめでとうございます!!!re様の作品大好きで、表現とか語彙力とか豊富で……。そして何より、設定もとても素敵で……。夢小説執筆終了は少し寂しいですが、お疲れ様でした。これからも読み続けます!ありがとうございました。 (2023年3月5日 21時) (レス) id: 2e6caf5e65 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - MUTSUさん» きゃー!MUTSUさん…!!お久しぶりです😭✨またコメントを頂けるとは思っていなかったので、涙が出るほど嬉しいです…(;-;)✨温かなお言葉、本当にありがとうございます!これからも頑張りますので、お付き合い頂けたら嬉しいです(*^^*) (2023年2月15日 20時) (レス) id: 78ebe0a207 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:re | 作成日時:2023年1月17日 19時