57、過去と今3 ページ15
「ゼロは怒ってなかったよ」
「で、でも…あんな大きい声初めて聞いたし…そんなの、怒る以外…」
彼女がまた泣きそうになるから、優しく笑いかけて首を横に振る。
「ゼロの顔、心配になるくらい真っ赤だったんだ。耳までね」
「……へ」
「俺達は小学生からの幼馴染だけど……あんなに真っ赤なゼロを見たのは、あれが最初で最後。」
「…」
「対面していれば、あの言葉が本心だなんて思う奴は誰もいないな」
驚いて目を見開いている彼女。
涙が零れ落ちた事にも気が付かないくらいに呆然としているから、そっと拭ってあげた。
「A」
「……怒って、なかったの?」
「あぁ。その後の会話は聞いてないか?」
「うん…それ以上聞く気にもなれなくて。すぐに帰った」
「そっか」
そうだよな。
だからこそ、こんなに拗れてしまったんだろうし。
「部外者が口出しするのは良くないって分かってるけど……Aが傷ついたのは俺達のせいだから。もう少し、あの日の話をさせて」
「…君達のせい?」
頷いて懐かしい記憶を辿る。
4人でゼロの部屋に押しかけて尋問したこと。
彼の表情、言葉…
" Aには絶対に言わない " って約束、守らなくてごめん。
2人の想いが通じる日が1秒でも早く来るのなら…2人が幸せになれるなら。俺は何だってする。
「ゼロにあの言葉を言わせてしまったのは…俺達が問い詰めたせいだ。『Aが好きだろ?』って」
「…」
「1度は " 好きじゃない " 、なんて言ったけど。結局、その言葉を否定した。……否定して… " 好き " だって認めたんだ」
「…す、き…?」
「うん。勿論、異性としてね」
真実を話すことが、彼女への精一杯の贖罪。
長年の誤解が解ける事への安堵と…
それ以上に大きくなるのは、ゼロへの罪悪感。
ごめん。
最低だと怒ってくれて構わないから…
ゼロが本気で好きで泣いてしまうような、こんな子を
早く抱きしめてやって欲しい。
「ふ、降谷は、その時から…私のこと、すき…なの?」
「うん、そうだよ。長い長い片思い…一途すぎるだろ?俺の親友。」
「…」
「Aの気持ちを知った時……俺達が慌てて会いに行った理由。分かったか?」
ぎこちなく頷いてくれたものの、何処か腑に落ちない様子のA。
…無理もないな。
「ゼロに好かれてること、信じられない?」
「…うん」
「じゃあ、Aの不安を全部打ち明けてみて?」
微笑みかければ、彼女は『分かった』と呟いて息を吐いた。
922人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
re(プロフ) - 景璃さん» 景璃さん、コメントありがとうございます…!!萩原さんには申し訳ない作品で…😭作者も書きながら「萩ぃぃぃ!😭😭ごめぇぇん!😭😭」と思っておりました…🤣 こちらこそ、最後までお付き合い頂き、感謝です…!✨ (2023年3月9日 23時) (レス) id: 78ebe0a207 (このIDを非表示/違反報告)
景璃(プロフ) - 完結おめでとうございます。お疲れ様です。私は降谷オタクですし、物語も大好きなのですが、一言だけ言わせてください。萩ぃぃぃぃお前ぇぇぇ😭😭😭😭😭😭以上です。素敵な作品をありがとうございました! (2023年3月9日 17時) (レス) @page27 id: b555acc3f2 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - まみこさん» まみこ様、最後までお付き合い下さり、コメントまで本当にありがとうございます!沢山褒めて頂いて、涙が出るほど嬉しいです…😭✨夢小説を書いて良かった!と心から思えました(*^^*)✨温かなお言葉、本当にありがとうございます! (2023年3月6日 9時) (レス) id: 78ebe0a207 (このIDを非表示/違反報告)
まみこ(プロフ) - コメント遅くなりましたが、完結おめでとうございます!!!re様の作品大好きで、表現とか語彙力とか豊富で……。そして何より、設定もとても素敵で……。夢小説執筆終了は少し寂しいですが、お疲れ様でした。これからも読み続けます!ありがとうございました。 (2023年3月5日 21時) (レス) id: 2e6caf5e65 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - MUTSUさん» きゃー!MUTSUさん…!!お久しぶりです😭✨またコメントを頂けるとは思っていなかったので、涙が出るほど嬉しいです…(;-;)✨温かなお言葉、本当にありがとうございます!これからも頑張りますので、お付き合い頂けたら嬉しいです(*^^*) (2023年2月15日 20時) (レス) id: 78ebe0a207 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:re | 作成日時:2023年1月17日 19時