素直な君との攻防戦2【降谷零】

64、待ち合わせ場所 ページ22

まさか…
と思った直後


額に、柔らかい感覚。
…おでこか。


｢…ごめんな。降谷ちゃんに２、３発殴られる覚悟は出来てる｣
｢わはは！…内緒にしとく｣


目を開ければ、切なそうに微笑む萩原。
胸がズキリと痛んで、また涙が滲む。


｢好きだったよ｣

｢…っ｣
｢本当に好きだった｣

重たくて…切ない、言葉。
こんなに胸が痛んだことは無かった。


｢君を好きになれて、良かった｣
｢…｣

｢俺の恋はこれで終わりだ。｣


『今までありがとう』。
感謝の言葉を聞いた直後、ぼろぼろと溢れた涙。

これ以上、萩原に迷惑をかけたくないのに…


｢ご、めん…っ｣

｢泣きすぎ。可愛い顔が台無しよ？ん？｣
｢だって…｣

｢…俺の代わりに泣いてくれてんの？｣

そう呟いた彼は、小さく息を吐く。
急いで涙を拭えば、頭にそっと彼の手が乗って。


｢お前よりいい子がすぐに見つかる気は…しねぇけど…｣
｢…｣

｢俺は絶対。一生をかけて守りたいと思える大好きな子を見つけて…お前らと同じくらい幸せになるから。だから、Aちゃんはさっさとゼロとくっつけよ？いいな？｣
｢…ん｣

｢お前らが幸せそうなツラ見せてくれねぇと…研二くんが可哀想でしょ〜？｣

｢ふふ…はい！｣
｢ん！いい返事｣

私、降谷に想いを伝えるよ。頑張るよ。
2人で幸せに…なるね。

絶対。



『ありがとう』。
お互いに、そう笑いあって。

最後に頭を撫でてくれた萩原は、そのまま背を向けて歩き出す。


堪えていた涙がまた零れた。

歪む視界、萩原が遠くに行ってしまう気が、したから


｢萩原ー！！｣

思い切り名前を呼ぶと、彼がゆっくりと振り向く。


｢わ…私と、これからも…！友達で、いて…くれますか｣

声が震えた。
こんなの、おこがましいよね。嫌…かな。

私の方へ身体を向けてくれた彼は、嬉しそうに笑っていて…


｢あったり前でしょ〜！" 親友 " って言ってくれる〜？｣


…ありがとう。


またね。



今度こそ彼を見送って。

姿が見えなくなっても、頬を伝う涙は止まってくれない。

君のこと傷つけたのに、これからも親友でいてくれて…ありがとう。



メッセージの着信音が響く。
スマホを取り出すと、相手はさっきまで一緒にいた…

｢萩原…？｣


ー 降谷ちゃん、ポアロにいるよ〜


…っ、やられた！

萩原と会うのに緊張していたせいで、ここがポアロから近い公園だって気づきもしなくて。

｢もう…！｣

思いっきり頬を叩いて。
涙を拭いながら私は走り出した。

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