素直な君との攻防戦【降谷零】

34、非番の刑事 ページ34

降谷には捜査の一環だったとて、落胆してる暇など無く。

1時間後にはドカンの物がここにある現実にため息を零し、頬を強く叩いた。


さて。
目暮警部に協力を仰いで、全員避難させたいところだけど…
犯人側の目的が分からないうちは大きな行動を起こさないほうが安パイ？

遠隔で起爆の可能性もあるし、それ以前に
もし公安の案件ならばアイツの指示に従うべきか。不本意だけど。


｢防犯カメラはあります？｣
｢…はい、幾つか｣
｢ん。全ての映像を見せて下さい｣
｢は、はい！｣

｢それから、この施設に脅迫の電話やメッセージは…｣
｢け、刑事さん…っ｣

突然慌てたようにバックヤードから飛び出してきたスタッフ。
周りの客に聞こえないよう、耳打ちされた言葉に頷く。



｢…お待たせしました｣
｢お帰りトオルクン。これ持って裏行こ｣

すぐ戻ってきた降谷に笑いかけながらバッグを指させば、頷いた彼はそれを持ち上げた。












｢おーい、爆処組〜｣

手を振ると、駆け寄ってきた2人は私を見るなり深いため息…なんだよ。


｢やっぱりAちゃんだ｣

｢はいはい。萩原も松田もお疲れ…やっぱりって何よ｣
｢いや？非番なのにご愁傷さん｣

それはどうも。

｢髪巻いてる！可愛い｣

｢…そこに爆弾あるけど｣
｢ワンピースも似合うね〜｣
｢ﾄﾞｳﾓ｣

萩原の褒め言葉は正直嬉し…じゃなくて

緊張感がねぇ！！！

ニッコニコの萩原に髪を撫でられながら乾いた笑いが漏れた。


｢はいはい！避難は完了してるから…ちゃちゃっとお願い｣

｢これ解体すりゃぁいいの？｣
｢うん｣
｢犯人は？｣

『いいから解体して』と視線で促して、ため息を零す。


｢" 目星はついているが、まだ泳がせたいから犯人側の要求を飲む " 。だそうです。以上｣
｢はぁ？｣

降谷の言葉を真似すると、松田がグラサンをずらしながら眉を寄せた。


｢要求はお金。後のことは知らなーい。もう首突っ込むな、って " 公安様 " から｣

｢ふーん？｣
｢お陰でうちの美和子がご立腹ですわ｣


離れた所で、公安の風見さん(多分)につっかかってる女刑事の姿…
私達の後輩 " 佐藤美和子 " 。

綺麗で敏腕だけど気が強い。
強引にヤマを奪い取る公安を以前から目の敵にしてて。


｢んな事より、ゼロと一緒じゃねぇのかよ｣
｢えぇ？流石にここには居れないでしょ…あいつ｣

いま警察しか居ないんだぞここ。


｢てか、なんで一緒にいたこと知って…｣
｢ほい、解体終わったよ〜｣

｢はっっや。｣

35、君の言葉一つで→←33、トオルクンの目的

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す