20、面倒な女 ページ20
「ちょ、ちょっと待てよAちゃん!降谷ちゃんは…ずっと…」
焦ったように口を開く萩原に、ぶんぶんと首を振って言葉を制止する。
正直、もう放っておいてほしい!!
恋バナなんて慣れない事をしてキャパオーバーもいいところ…頭から湯気が出てる気がする。
「本当に何もして欲しくないの…気持ちだけ受け取っておくね。ありがとう」
「あのなぁ!こっちは何年ヤキモキしてると思ってんの!!!漸く進展するかと思ったのに…」
「は、萩原…ちょっと落ち着いて…」
「っ、うるさいうるさーい!!」
何故かヒートアップして立ち上がった萩原を、宥めようとする諸伏。
もうやめてくれー!!疲れた!!
「お願いだから!!あ!今日の話は聞かなかったことにして…!!今から君達の記憶を消しま…」
「無理」
「チッ!!くそぅ………わ、私、もう傷つきたくない、から…」
滲む視界。瞼を閉じたら涙が零れる気がして、グッと堪える。
今まで…降谷への気持ちが大きくなりかける度、頭の中で何度も繰り返した『好きなわけない』の言葉。
降谷は、私を好きなわけない。
「…Aはゼロに傷つけられたのか?」
少し驚いたような、けれど優しい諸伏の声にハッとして。
すぐに首を横に振る。
「ち、がう……私が勝手に傷ついただけだ。降谷は悪くないから!!ごめん!今のは、忘れ…て」
唐突に、ボロボロと頬を伝っていく涙。
……頭の中に降谷の声が鮮明に響いたから。
あいつと、今の関係でいられなくなるのが、嫌。
嫌われるのが、怖い。
「絶対、な゛、何も…!言うなぁ…っ、」
鼻をすすりながら袖口で涙を拭おうとしたら、軽い舌打ちをした松田がガサガサとティッシュを取って雑に拭いてくれた。
……この役目、松田なんだ。意外。
「ふ、ふふ…松田、痛い」
「笑ってんじゃねぇよ」
何だかおかしくなってきて、泣いているのに笑いが込み上げてくる。…情緒不安定。
突然、大きな手が私の頭をポンポンと撫でた。
振り返れば、すっかり眉の下がった犬みたいな萩原…
「……悪かった」
「は、ぎわら」
「感情に任せて余計なこと言い過ぎた。泣かせてごめんな」
こいつがめちゃくちゃ良い奴だって、知ってる。
私の為に『協力する』って強情になってたのも、分かってる。
「私も…面倒臭い女でごめん…気持ちがぐちゃぐちゃで…」
「うん。落ち着くまで俺がハグしてあげる!おいで!!」
目の前でバッと両腕を広げられて、思わず固まる。
ハグ…?
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re(プロフ) - 樹菜さん» 樹菜さん、有難いお言葉、本当にありがとうございます(;-;)とっても嬉しいです!なんとか完結できるように!のんびり頑張りますので、ぜひ今後もお付き合い下さい(*^^*)寒い日が続きますが、樹菜さんもご自愛くださいね✨ (2022年12月24日 7時) (レス) @page11 id: 6b9303296e (このIDを非表示/違反報告)
樹菜(プロフ) - この作品すごく楽しみにしてるので、消さないで欲しいです(т-т)ゆっくりでもいいので更新楽しみにしてます!!ここ数日寒いのでお身体に気をつけて頑張ってくださいね( *´꒳`*) (2022年12月23日 15時) (レス) @page26 id: d9d95eb8b3 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 樹菜さん» 樹菜さん、またコメントありがとうございます…!✨他の作品も読んで下さっているのですか…!わー!本当に嬉しいです…😭✨ありがとうございます!完結目指して、これからも更新頑張りますので、是非最後までお付き合い下さい!(*^^*)✨ (2022年12月11日 6時) (レス) id: 6b9303296e (このIDを非表示/違反報告)
樹菜(プロフ) - 更新ありがとうございます!reさんの他の作品も楽しく読ませて貰ってます!このお話大好きなのでこれからも待ってます!! (2022年12月10日 18時) (レス) @page20 id: d9d95eb8b3 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 樹菜さん» 樹菜さん、コメントありがとうございます!✨久しぶりの更新になってしまって、本当にすみません💦久々すぎて需要も無いかなと思っていたので、本当に嬉しいです…!励みになります😭✨更新頑張りますね! (2022年12月6日 6時) (レス) @page15 id: 6b9303296e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:re | 作成日時:2022年6月30日 13時