2、店員の正体は ページ2
爆発しそうな怒りを鎮めるように深い深い溜息を零した私は、淹れたてのコーヒーに手を伸ばしてゆっくりと口をつける。
「…はぁ、おいし……」
「それは良かった」
初めて来た喫茶店なのにも関わらず、よく知ってる味と……知らない笑顔。
大好きなコーヒーの香りを楽しむうち、自然と怒りの感情は落ち着いていった。
…ちょっと悔しい気がするし、カフェイン中毒の私にはこれだけじゃ足りない。
「……はぁ」
「気に入って頂けたのなら、お代わり用意しましょうか?」
「…え?いや、大丈夫」
「僕がサービスしますよ」
「いえ、要らんです」
「すぐに用意しますね!」
「おい話聞け金髪店員」
おかしくて今すぐに笑い転げてしまいたいような、お腹の奥がムズムズするような不思議な感覚に、また深くため息をついてカップに口をつける。
あぁ、なんだか疲れた。
せっかく雰囲気があって素敵な喫茶店なのに……ほんっと疲れた。
コーヒー飲み終わったらすぐに帰ろう。
「僕、もうすぐシフト上がりますから。この後デート、しましょうか」
「……っ、で、……!!っ、げほ、ごほ……っ、?!」
彼の口から飛び出したそのワードに、熱々のコーヒーを吹き出して盛大に噎せた。
喫茶店で何たる失態。
相変わらず周りの視線がすごい。っ、もう!恥ずかしさで埋まりたいよ!!!
なんて乙女な思考に浸れるほど、今の私は冷静じゃなくて。
いや、まぁ元々そんな可愛い思考は持ち合わせていないんだけど…
「大丈夫ですか?これ使って下さい」
「けほ、げほ……っ、だ、大丈夫なんで……あの、離、れて」
「いいえ。心配ですもん」
何が " もん " だ。いいから離れろ。
いつの間にかカウンターから出てきていた彼。
名前は
" アムロトオル " 。
キュルキュルした瞳でじっと見つめながらタオルを差し出す。いや、近い。距離がやたら近い。
ついでに咳き込む私の背中を優しく擦って……『大丈夫ですか?』なんて可愛こぶるこいつは、幼い見た目に似合わず29歳だ。ついでに怪力。
周りでは女性客がキャーキャーと騒いでいるけど……本性を知ったら興醒めだろうな。
噎せた苦しさで涙目になりながらもキッと睨んでやれば、嫌味っぽい笑いを浮かべて腕を組む店員。
私が…っ!!
あんたとデートなんかする訳ないだろ!
この怪力嫌味クソ同期が!!!!
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re(プロフ) - 樹菜さん» 樹菜さん、有難いお言葉、本当にありがとうございます(;-;)とっても嬉しいです!なんとか完結できるように!のんびり頑張りますので、ぜひ今後もお付き合い下さい(*^^*)寒い日が続きますが、樹菜さんもご自愛くださいね✨ (2022年12月24日 7時) (レス) @page11 id: 6b9303296e (このIDを非表示/違反報告)
樹菜(プロフ) - この作品すごく楽しみにしてるので、消さないで欲しいです(т-т)ゆっくりでもいいので更新楽しみにしてます!!ここ数日寒いのでお身体に気をつけて頑張ってくださいね( *´꒳`*) (2022年12月23日 15時) (レス) @page26 id: d9d95eb8b3 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 樹菜さん» 樹菜さん、またコメントありがとうございます…!✨他の作品も読んで下さっているのですか…!わー!本当に嬉しいです…😭✨ありがとうございます!完結目指して、これからも更新頑張りますので、是非最後までお付き合い下さい!(*^^*)✨ (2022年12月11日 6時) (レス) id: 6b9303296e (このIDを非表示/違反報告)
樹菜(プロフ) - 更新ありがとうございます!reさんの他の作品も楽しく読ませて貰ってます!このお話大好きなのでこれからも待ってます!! (2022年12月10日 18時) (レス) @page20 id: d9d95eb8b3 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 樹菜さん» 樹菜さん、コメントありがとうございます!✨久しぶりの更新になってしまって、本当にすみません💦久々すぎて需要も無いかなと思っていたので、本当に嬉しいです…!励みになります😭✨更新頑張りますね! (2022年12月6日 6時) (レス) @page15 id: 6b9303296e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:re | 作成日時:2022年6月30日 13時