素直な君との攻防戦【降谷零】

27、休日の予定は ページ27

｢だって、わたし非番なのに朝早く起こされたくないじゃん。あいつら、この家で好き勝手するくせに鍵閉めないとめちゃくちゃ怒るし！｣

｢当たり前だろ。鍵は閉めろバカ｣
｢今はちゃんと閉めてますー！｣
｢ " 今は " ？｣
｢……なんでもない｣


揚げ足取り。結果的に気をつけてるんだからいいじゃんか。

べーっと舌を出してやると、頭を叩かれた。
いてぇ…


｢言っとくけど！誰にでもホイホイ渡すほどアホじゃないよ。萩原のこと信用してたから渡したの。…っていうか、昨日まであいつが合鍵持ってることすら忘れてた｣


思えば、ずーーっと合鍵持ってたのに強引に家に来ることも、勝手に使うことだって1度も無かったんだよね。萩原。

昨日の件、まだ少しモヤモヤはするけど……やっぱり良い奴。


友達としてすごく好きだし…女子からモテるのも、よく分かる。
人数合わせとかでよく合コン行くくせに、特定の彼女を作ってる所は見たことないな、と気がついた。


｢ちなみに降谷ｻﾝは昨日と今日の2回、鍵を " 開けた " ね。記録更新です。おめでとう。ワハハ｣

｢はぁ。…どうも｣
｢気のない返事だこと｣

自分から合鍵のこと聞いてきたくせに。何なのこいつ。

まだ眠気の残る頭を覚醒させるために、大きく伸びをした。久しぶりにゆっくり寝たお陰で体調がいい。

ていうか今何時…

｢それで？お前、いつまでその格好でいるつもりだ？｣
｢へ？｣

｢まさか忘れてないだろうな｣


忘れ……



られる訳ないでしょうが。


｢し、支度…します｣
｢早くしろ。ノロマ｣
｢ﾁｯ！いちいち厳しいなパツキンゴリラ｣
｢煩い｣
｢着替えるから外出ろ変態｣
｢誰が変態だ｣


充電を忘れて電源が落ちていたスマホを放り投げて、降谷の腕時計をチラ見。

現在、午前10時20分。


｢あ…あれ？君が迎えに来るって言ったのは何時でしたっけ…｣

｢10時｣

｢………じゅ、…じゅ？｣
｢10時。｣


ｱ､ｱﾚｰ？既に20分経過…

降谷がここにいる理由を知った瞬間、冷や汗が止まらなくなった。
寝室を出ていく広い背中に向かって思いっきり土下座。


｢寝坊してほんっっっとにすみませんでした！！合鍵持っててくれてよかったぁ〜！！！！｣

｢煩い。いいから早くしろ、ねぼすけ｣


ねぼすけって…

パタン、と閉じた扉に向かってため息。


｢あー…あいつマジ怖っ。部下の人達は毎日可哀想だなぁ…あんな童顔に説教されて…｣

｢聞こえてるぞ｣
｢ﾁｯ！地獄耳｣



…今日1日大丈夫かな。

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