39、お酒のせい ページ39
「…わたしね、昔から零さんがすきだったの」
零さんはもちろん知ってるだろうけど。
お酒って、すごい。あたまがフワフワして、いつもは言えない彼への気持ちを……ちゃんと伝えられそうな気がする。
「A…」
「だからね…零さんが私の名前たくさんよんでくれるのも、いっぱいだきしめて、私に触れてくれるのも」
ーだいすき
彼の方へ両手を伸ばせば、ふわりと優しく微笑んで抱きしめてくれる。零さんの笑った顔を見ると、幸せな気持ちになるんだよ。
「すきって言ってくれて、うれしかった。私に、居場所を……帰る場所を、くれたの。ありがとう」
「……俺も。」
わたしも、零さんにとっての居場所になれているの?だったら嬉しい…本当に嬉しい。
「世界でいちばん、好き。零さんがいたら何だって頑張れる気がするの……そんな人、零さん以外にいないの」
「はいはい」
「れいさん、だいすき。……ずっと、一緒にいられたら…いいなぁ」
彼の肩にぐりぐりと頭を押し付ける。
唐突に大きなため息が聞こえた後、ぐっと身体を離された。
「ストップ」
「?」
「それ以上喋ると、お前に何をするか分からない」
彼を見つめながら首を傾げる。なにを?
状況が飲み込めない私を見た彼は、するりと首筋から頬へと指を伝わせた。
ゾワゾワとした軽い快感。唇に指が触れた瞬間、彼の瞳に熱が籠った気がした。
「……零さんになら、なにされてもいいよ」
こんなことを思うのは、貴方だけ。もっともっと、私に触れてほしい。
…お酒のせいで、こんな恥ずかしい事も言えちゃうのかも。でも今日だけは、いっか。なんて上手く回らない頭で思った。
「煽ったのはお前だ」
「れ、さん……」
「今日は簡単に寝かせないから」
抱きしめるように回された手で首を傾けられる。下ろしている髪を後へ流すと、私の首筋に唇が触れた。
「っ、ん……いた、っ」
「……」
柔らかな唇の感覚に震えた直後、チリッとした軽い痛みが走った。
「れいさん、いまなに……っん、…」
すぐに言葉ごと口を塞がれる。
息が苦しくなって、零さんの事以外何も考えられないこの状況に、じわりと涙が滲んだ。
「……今、 " 嫌だ " と言えば止められる」
私の目に浮かぶ涙に気がついた彼が、唇を離してそう呟いた。こんな時でも私の気持ちを大事にしてくれるんだね。……優しい。
「ううん……私を、抱いて」
強請るように彼の首に手を回す。噛み付くようなキスをした彼は妖艶に笑った。
「仰せのままに」
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作者名:re | 作成日時:2021年1月27日 18時