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2、SNSで検索 ページ2

「あ 、む 、ろ 、さん」

声に出しながらタプタプと画面を叩いて彼の名前を入力。
親指を下から上に動かし続けるも、目当てのコメントは見つからない。うーん、やっぱり。
こめかみをトントンつつきながら一つ一つ読み上げていく。


「安室さん、イケメン。安室さん、やさしい。安室さん、笑顔が素敵。安室さん、かっこいい。安室さん、好き。安室さん、付き合いたい。」

「それはどうも。嬉しくはないですが」
「うわぁ!」

すぐ隣から声が聞こえて、私は思いっきり身体を浮かせた。その瞬間、緩んだ手からハムサンドが飛び出して宙を舞う。
声を上げる暇もなく、目にも止まらぬ速さでお皿を手に取った彼が落ちてきたハムサンドを華麗にキャッチした。


………お見事。


「ほぅ。人の名前を検索ですか。いい趣味してますね」
「ありがとう!」
「褒めてない」

机の上に置いた私のスマホをチラリと覗き見ながら、彼はうんざりしたようにそう言った。
『いい趣味』だって。貴方にそんな事を言われる日が来るとは思わなかった、ありがとう嬉しい!

馬鹿にされてるのはわかっているけど、言葉の意味を曲解してでも無理やりポジティブに生きるしかないんだよ、私は。この店員さん、優しくしてくれないからさ。


私の目の前に、先程宙を舞ったばかりのハムサンドと湯気の立つコーヒーカップが置かれた。

「おかわり?」
「……どうぞ、ご自由に。」

小さなため息をついてから、彼は踵を返してカウンターへと歩き出した。

これ、サービスかな?それとも普通に料金発生してるやつかな?
ま、どっちでもいいか!なんて考えながらコーヒーを1口すする。

「おいしい」

さてと。
スリープモードになりかけていたスマホの画面をトン、と叩いて作業再開。

ハムサンドのお皿が空になっても、しばらく熱心に探し続けていたけれど。


「………安室さん……"冷たい” ってコメント、1件もないじゃんか」

3、閉店時間→←1、店員さん



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作者名:re | 作成日時:2021年1月27日 18時

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