34、苦いキス ページ34
「ん、…っ、!」
ただの、キス。
お互いの唇が触れるだけの行為。
不本意ながら沢山の人と付き合ってきた私にとっては、今まで飽きるほどしてきたはず、なのに。
この感覚が、自分の鼓動の早さが、彼の手の熱さまで。強烈に脳へと刻み込まれる感じがして焦る。
こんな事、今まで無かった。どうして……今回に限って、私
「ふ、るや…っ、ちょっ、まっ…」
一瞬、唇が離れた隙に距離を取ろうと思えば、後頭部に回された手が私の逃げ道を簡単に阻み、再び強引にキスをされて。
小さく開いた唇の隙間から降谷の舌を受け入れた。
ほんとにどうしちゃったの…
「ぁ…んっ…!ん」
鼻に抜ける、アルコールの匂い。ビールの苦さ。
エアコンの稼働音と…テレビの音に混じって聞こえる、堪えきれない私の小さな声。
…そうかぁ。降谷も本当にキスできるのか。
ちゃんと男なんだなぁ。
しかし何故こんな事に…というか、私よりキスの回数は少ないだろうに(知らないけど)普通に上手くて腹立つ。
いや、違う。
頭がぼんやりするのはこいつのキスのせいじゃない。アルコールのせいだ。絶対そうだ。
…くそ、でも腹立つ。
そんなことより、やっぱりビールは美味しくないな。私は甘いお酒でいいや。なんて呑気なことまで考えて。
やっと唇を離して貰えた時には、身体から力が抜けてしまっていた。むかつく。
顔が熱くて堪らない。
「に、がいよ…ふるや」
「お前は甘いな」
濡れた口元をそっと拭ってくれる降谷を軽く睨みつける。
ほんと、なんだこいつ。
余裕ぶって、むかつくむかつく!
「どうして真っ赤になってるんだ?A」
「……お、お酒飲んだから…」
「お前は慣れてると思ったんだけど」
「いや、だから!お酒のせい……って、私の事バカにして…降谷よりは、慣れてると、思うん…ですけど…」
ケラケラと笑う降谷はビールを煽った。
はぁ、私ばっかりドキドキしてるんだな。
遊ばれてる。
…私より経験ないくせに。
「バーカ!降谷のばーか!!」
「色気も何もあったもんじゃないな、お前」
「知るかー!あんな強引にキスしやがって」
「怒ってるのか?嫌だったなら謝る」
「………怒ってない。でも、ビール味は勘弁…」
「子供舌」
「うるさい」
『好き』だって言わないんだね。じゃあ、ただの友達なのに……なんでキスなんかしたの?
でも、降谷にされるのは嫌じゃなかったし…そんな事する奴だとは思わなかったから、本気で混乱してる。
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re(プロフ) - そこらにいるオタクさん» そこらにいるオタクさん、コメントありがとうございます!お話楽しんで頂けてとっても嬉しいです…!(*^^*)保護者は苦労します…笑 そして、やはりバグなんですね(;-;)教えて頂いて感謝です…!更新する際は気をつけます、ありがとうございます! (2021年9月28日 18時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
そこらにいるオタク(プロフ) - コメント失礼します 作品いつも楽しく読ませていただいてます 保護者諸伏さん頑張れ! あと私もたまにその様なバグがありますね 一旦前のページに戻ればバグはなくなるのですが (2021年9月28日 5時) (レス) @page23 id: f5a7aaca63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:re | 作成日時:2021年9月23日 7時