20、ただのお隣さん ページ20
「あの時、JKいたでしょ?…それに、どうせここで会うのに…。あの話、今のタイミングじゃダメだったの?もし聞かれてたら…炎上しちゃう」
一緒に夕食を取ったあと、すぐに帰るのかと思えば。
まだ怒りが収まっていなかったらしいAが、僕に話を振ってきた。
「はい?最初に言ったでしょう?『しっかり、" 炎上 " させてあげます』って」
「……ハッ…!」
やっぱり忘れてたのか。
以前の僕とのやり取りを思い出したらしい彼女が、余りにも絶望の表情を浮かべているのが可笑しくて、笑ってしまった。
……炎上は、僕が対処しておくから…別に、心配しなくてもいいんだけどね。
「でも、私とデート…なんて……ほ、本気なの?それとも、炎上させたいから冗談を言った…?」
「はい?冗談でそんな事言うわけないでしょう。そこまで最低な男だと思われてるんですか」
そのセリフは…ちょっと。
気に食わないな。
眉を顰めて、Aの瞳をじっと見つめる。
「Aさん、もしかして僕と出かけるの嫌なんですか?」
「え?もちろん、い、いや…な訳、ない、けど…」
少し…恥ずかしそうな表情で呟く。
" 何故、自分をデートに誘うのか分からない " と。本気で困惑していそうなAは、綺麗な茶色の瞳で…僕を見つめて。
『そもそも!キスだって、1回しか…』
と声を上げると、すぐにハッとしたように口を噤んで俯いた。
あぁ、これは……初めて僕の部屋に来た夜のことを、考えたのだろう。
確実に " キスは1度 " だと言い切れなかった辺り…まだ、何があったのか思い出してはいないはずだ。
「……ふぅん?じゃあ、今。していいですか?」
「ぅ、え?!…で、でも…っ!私たち、ただのお隣さん…だよ?」
僕の言葉に、Aの頬が赤くなって。
そして、僕は。
Aが言った『ただのお隣さん』と言うワードに。
胸が、ほんの少しだけ…痛んだ。
そんな気持ちを隠すように、僕は余裕あり気に微笑んで見せる。
『恋人じゃないと、したくない?…可愛いね』
Aは本当に、可愛くて。
誠実で。
警察官なのに……日常的に " 犯罪 " に手を染める僕とは、違う世界に住んでいると。本気で思う程に。
…純粋、で。
その事実が。
胸が締め付けられる程に……切ないんだ。
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真実(プロフ) - reさん» どの小説も読みやすかったです。一目惚れのお話は読んでいてこんな一目惚れの仕方もあるのかと感心しました!リクエストの件、ご無理はなさらずに形に出来そうであればお願いします!! (2021年8月6日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» ぇええ?!全部読んで下さったのですか…?!(;-;)貴重なお時間を私の小説に割いて頂いて…う、嬉しすぎます…!本当に幸せです、ありがとうございます(;-;)一目惚れのお話も読んで頂けて幸せです…!リクエストのお話もいずれ形にできるよう、頑張りますね!^^ (2021年8月6日 7時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - reさん» 読んでいてお互いの気持ちを考えているのが分かるのでキュン死するかと思っています(因みにreさんの小説は全部読破しております/リクエストした際に言っていた降谷さんの一目惚れの小説も読みました) (2021年8月5日 21時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» 真実さん、コメントありがとうございます…!2人の、お互いを大切に想う気持ちを伝えられているのなら、私はとても幸せです…(;-;)とても嬉しいお言葉、いつもありがとうございます…!2人の幸せのために、続編も引き続き頑張りますね!^^ (2021年8月5日 19時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - 夢主には夢主の苦悩、降谷さんには降谷さんの苦悩と言うものがreさんの小説から痛いほど伝わってきますね。けど、それはお互いを大切に思っての事だと思うと切ない気持ちになります。続編も楽しみにしてます!! (2021年8月5日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:re | 作成日時:2021年7月25日 15時