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17、騒がしいオフィスにて ページ17

「あ!降谷さん、お疲れ様です」

「…あぁ、風見か。来てたんだな」

ポアロのバイト終わり。
僕が登庁すると、丁度警察庁へと来ていたらしい風見が駆け寄ってきた。


「来週末に予定されていた捜査、日程が変更になりました」
「そうか」

「ですから…その日はゆっくりお休みになって下さい」
「は?いや…」


……休め、だって?
仕事なんか、少し目を離しただけで次から次へと増えていく。
あの組織に頻繁に呼び出されるせいで、ただでさえ捌き切れていないのに。

風見のセリフが気に入らなくて、思わず眉を寄せる。

そんな僕を見ても怯むことなく、彼は首を横に振った。

「降谷さん!休息も仕事のうちです」
「…」

まぁ…確かに、1日仕事が入らなかった最後の休日はいつだったか……すぐには思い出せない、が。
この仕事をしている以上、仕方の無い事だと割り切っている。


いつもなら『そんなの分かってる』『余計なお世話だ』と。風見を一蹴する所だが…

そう、口にする前に。頭を過ぎったこと。


…来週末。

「……土曜…か。」


Aの休みの日。


『…水族館』。

今日の昼間、梓さんが言っていた言葉を思い返して。無意識にポツリと呟くと、周りの奴らが一斉に僕の方を向いた。


「……は?」

「ふ、降谷さん!!水族館デートですか?!」
「彼女さんですか!?」
「どんな方ですか?!」
「お幾つですか!!」
「出会いは?!」
「降谷さん、お忙しいんですから!この機会に、行かないと勿体ないですよ!」


唐突すぎる勢いに、気圧されそうになる。

……いきなり何なんだ。

「…ちょっと落ち着け…」
「いくら降谷さんでも、彼女を放ったらかしすぎると愛想つかされますよ」


いや……付き合ってない。

こいつら…仕事中よりよっぽど生き生きしてる。呆れて、自然とため息が零れた。


「勝手に話を進めるな。…恋人じゃないから…」

「ふ、降谷さんほどの方がアプローチしても落ちない女性がいるんですか?!」

「……まぁ…彼女、変わってるしな…」

「好きなんですね?!」

あぁ、もう。うるさい。

「別に。…馬鹿な事ばかり言ってないで、さっさと仕事をしろ」


ため息をついて、自分のデスクへ向かう。

積み上がった書類に目を通しながら、気がつけば軽い舌打ちをしていた。



… " 彼女か " 、だって?

そもそも。
あんな組織に潜入捜査なんかしている今の僕が。



……平和な世界で生きる、Aに。

『好きだ』なんて、言える訳がないだろ。

18、土曜の予定→←16、デート先の提案



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真実(プロフ) - reさん» どの小説も読みやすかったです。一目惚れのお話は読んでいてこんな一目惚れの仕方もあるのかと感心しました!リクエストの件、ご無理はなさらずに形に出来そうであればお願いします!! (2021年8月6日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» ぇええ?!全部読んで下さったのですか…?!(;-;)貴重なお時間を私の小説に割いて頂いて…う、嬉しすぎます…!本当に幸せです、ありがとうございます(;-;)一目惚れのお話も読んで頂けて幸せです…!リクエストのお話もいずれ形にできるよう、頑張りますね!^^ (2021年8月6日 7時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - reさん» 読んでいてお互いの気持ちを考えているのが分かるのでキュン死するかと思っています(因みにreさんの小説は全部読破しております/リクエストした際に言っていた降谷さんの一目惚れの小説も読みました) (2021年8月5日 21時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» 真実さん、コメントありがとうございます…!2人の、お互いを大切に想う気持ちを伝えられているのなら、私はとても幸せです…(;-;)とても嬉しいお言葉、いつもありがとうございます…!2人の幸せのために、続編も引き続き頑張りますね!^^ (2021年8月5日 19時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - 夢主には夢主の苦悩、降谷さんには降谷さんの苦悩と言うものがreさんの小説から痛いほど伝わってきますね。けど、それはお互いを大切に思っての事だと思うと切ない気持ちになります。続編も楽しみにしてます!! (2021年8月5日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:re | 作成日時:2021年7月25日 15時

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