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12、チョロい彼女と帰路 ページ12

少し、悔しさを感じて。
…意地でも、僕と一緒に帰る事を " 日常 " にさせてやろうと心に決めた。

カウンターから軽く身を乗り出して、彼女へと近づく。

『……どうせ、帰る場所は同じでしょう?』

ニヤリと笑いながらそう呟けば、彼女の顔から一瞬で血の気が引いて。


「あ、あわーーー?!!!おーい!!何言って…」

「騒がしいですね。」

「アッ…大変失礼致しました。…でも、あの、あむぴ?誤解されるような事…言わないで…」

「ん?誤解、って?」

小首を傾げながら笑顔でAを見つめると、今度は頬を赤く染めて。『う…』なんて小さく呟いて、口を噤んだ。

やっぱり、僕のこの仕草に弱いのか。
彼女から視線を逸らさずに言葉を続ける。

「同じアパート、お隣さん同士。それなら、 " 帰る場所は同じ " …でしょ?」

「…たし、かに…おっしゃる通り…」

『異論は無いですね?』と問いかけると、本気で納得したように何度も頷いて。

「ハイ!ありません!」

なんて答えた。


いや、流石に。
……チョロすぎる。



クローズまで待ってくれた彼女にお礼を言って、僕の車へと案内する。助手席のドアを開けたは良いが、すぐに乗る気配がなく…

「…何してるんです?」

キョロキョロと周囲を警戒している様子の彼女に声をかけると、『JKはいません、今です…っ!』と言いながらそそくさと助手席に乗り込んだ。

…本当に炎上したくないんだな。

スポーツカーが物珍しいのか、車内に視線をさ迷わせては『すごい』と何度も呟いていて。

そのくせ、相変わらず外を警戒して身を屈めているから…怪しすぎて自然と笑ってしまった。



車を降りると、『あむぴの車かっこいいね…!』なんてキラキラした瞳で僕を見つめてきて。

…すぐに、僕の助手席に乗るのが当たり前になるよ。


「気に入って貰えて良かったです。さて、早く帰りましょう?」

「ぅ、え…?!あむぴ、手?!」
「大丈夫。女子高生はいませんよ」

「…ウ、?たしかに…」

炎上さえしなければ、僕と手を繋ぐのは構わないのか。
振りほどこうとはしない(チョロい)彼女の手を引いたまま、一緒に部屋へと向かう。


「あ、あれ?…ちょ、ちょっと待って。私の部屋の前過ぎたよ?あむぴ…あれれ?」

「…」
「うぉーい!アムロサン?……あむぴ?安室さん?安室透?……あ!もしかして、私の手掴んでるの忘れてる?というか、私がいるの忘れてる?」

彼女の言葉を全てスルーして、自分の部屋の鍵を開けた。

13、夕食は2人で→←11、普通の常連客



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真実(プロフ) - reさん» どの小説も読みやすかったです。一目惚れのお話は読んでいてこんな一目惚れの仕方もあるのかと感心しました!リクエストの件、ご無理はなさらずに形に出来そうであればお願いします!! (2021年8月6日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» ぇええ?!全部読んで下さったのですか…?!(;-;)貴重なお時間を私の小説に割いて頂いて…う、嬉しすぎます…!本当に幸せです、ありがとうございます(;-;)一目惚れのお話も読んで頂けて幸せです…!リクエストのお話もいずれ形にできるよう、頑張りますね!^^ (2021年8月6日 7時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - reさん» 読んでいてお互いの気持ちを考えているのが分かるのでキュン死するかと思っています(因みにreさんの小説は全部読破しております/リクエストした際に言っていた降谷さんの一目惚れの小説も読みました) (2021年8月5日 21時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 真実さん» 真実さん、コメントありがとうございます…!2人の、お互いを大切に想う気持ちを伝えられているのなら、私はとても幸せです…(;-;)とても嬉しいお言葉、いつもありがとうございます…!2人の幸せのために、続編も引き続き頑張りますね!^^ (2021年8月5日 19時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
真実(プロフ) - 夢主には夢主の苦悩、降谷さんには降谷さんの苦悩と言うものがreさんの小説から痛いほど伝わってきますね。けど、それはお互いを大切に思っての事だと思うと切ない気持ちになります。続編も楽しみにしてます!! (2021年8月5日 13時) (レス) id: 19057a7d80 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:re | 作成日時:2021年7月25日 15時

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