21、狡い人 ページ21
｢簡単に言えば…二次創作の設定なんですよね。小説の主人公が、好きな漫画の世界に放り出される…って。｣
｢…｣
｢あ、引いてる｣
クスクスと笑えば、降谷さんは私の頬を引っ張った。…痛い。
｢それでね、" トリップ " のセオリーは。現実の世界で亡くなった主人公に、神様が話しかけるところから始まります｣
｢…お前は何を言ってるんだ｣
｢だ、か、ら！二次創作、ですって。作り話の作り話！｣
この人やっぱり現実主義者だよな…よく私が違う世界から来たことを受け入れようとしたな。
｢でね、良くある例は…神様が、衣食住……莫大な財産を主人公に与えた上で、漫画の世界に送り込む。｣
｢…至れり尽くせり｣
｢そう！そこなんですよ！…それを、ふと思い出して｣
うん。
｢私だけ、ハードモードすぎません？｣
｢いや…お前も言っていた通り、そのトリップとやらも二次創作だろ。所詮、作り話だ｣
｢そうだけど！突然公園のベンチに置き去り！荷物も何もなくて、前の世界の記憶もない！…うわっ、かわいそ｣
｢はいはい。僕に会えて良かったな｣
｢……大好きです｣
その言葉に、ケラケラと笑った彼が突然。
私にキスをした。
｢ん、…んんっ…？｣
いや、なんで？
｢ん、ぁ…っ、な、なにっ…んっ｣
｢…｣
触れるだけのキスから、強引に舌をねじ込まれて涙が滲む。
いや、この人本当…色々唐突すぎない？
私が『大好き』だと言ったから…スイッチが入った？
いや。これは…多分、違うな。
そんな理由じゃない。もっと、姑息な…。
頭では色々と考えるものの、少しずつ…彼に脳を支配されてゆくようで。
｢ふ、…んっ、ぅ、…ふ、るやさ｣
腰が抜けそうな…長いキスの合間。完全に力が抜け始めた私をちらりと確認した様子の彼が。
唇が離れた瞬間に何かを、自分の口に含む。
｢そ、れな……ぁ、…んっ｣
" それ何 " なんて問いかける暇も与えない。
問答無用で再び私の唇を塞いだ彼は、口移しで何か液体を流し込む。反射的にこくりと音を立てて飲み込んだ。
あー！！！ほら…っ！
やっぱり、こういう…こと、する。
｢ぅ…また、くす、り…？｣
｢ごめん。仕事してる間…寝てて？｣
｢ひ、ど…｣
私を薬漬けにする気か！この警察官！！
瞼が完全に落ちる直前。
唇に触れるだけのキスの感覚と…『おやすみ』と優しい彼の声が聞こえた。
…いや、『おやすみ』じゃないわ！！！
公安の仕事をしてる所を…見せる気も無かった訳だ。
狡い人。
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re(プロフ) - みおさん» みおさん、このお話にお付き合い下さって、更に温かなコメントまで……！！本当にありがとうございます…！✨好きだと言って頂けて、とても嬉しいです😭✨✨書いてよかった〜！(*^^*)ありがとうございます！ (2022年6月3日 10時) (
レス) id: 6b9303296e (このIDを非表示/違反報告)
みお(プロフ) - 本当に最高です！！話の内容が好きすぎます！！素敵な作品ありがとうございました！！ (2022年5月21日 13時) (レス) @page36 id: 98c132f21e (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - 金糸雀さん» 金糸雀さん、コメントありがとうございます…！！本当ですか…(;-;)文章を褒めて頂けるなんて…幸せすぎます…！！続編まで希望して頂けるなんて…このお話を書いて良かったです！！本当にありがとうございました！^^ (2021年7月30日 8時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - え、好きですこの作品！！文章の表現技法がとても素敵でキュンキュンしながら読ませていただきました！お時間がございましたら、続編を書いてほしいですっ！！ (2021年7月29日 21時) (レス) id: e5f7c718e0 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - お米。さん» お米。さん、最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございます…！嬉しい言葉の3連続…！笑 ありがとうございます…！萌えて頂けて幸せですが、どうか、死なないで…笑 温かなコメント、ありがとうございました^^ (2021年7月8日 10時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：re
| 作成日時：2021年7月1日 7時
