80、スコッチ ページ35
ーー
「君は…スコッチを知っているのか」
高校生たちに遊ばれまくった、地獄の勉強合宿終了から3日後。
本当に私と話をする為だけに日本まで来てくれた秀一さんは、" 昴さん " として慣れ親しんだであろう、工藤邸にいた。
私の向かいには、秀一さんと新一くんが座っていて。
『ヒロ兄…諸伏景光が、自決した時のこと。教えて、頂けませんか?』
私が遠慮がちにそう告げると、少し驚いたような表情をした秀一さん。
零さんだけじゃなく、ヒロ兄とも幼なじみだった事を告げると、彼は納得したように頷いた。
って、それより…。
「スコッ、チ…?」
「あぁ。諸伏くんのことだ」
「ヒロ兄は、スコッチ…と呼ばれてたんですか?」
「あの組織は酒の名前を " コードネーム " に使っていてな。彼はスコッチだった。……さて、本題に入ろうか」
そう言った秀一さんは、酷く真剣な表情をしているから…自然と背筋が伸びて、心臓がドクドクと音を立て始めた。
「降谷くんから、その話を俺に聞くよう言われたのか?」
「はい」
「そうか…」
『彼は…気がついたのかもな』
淡々と呟いた秀一さんは、私に視線を移す。
「俺が話す事実は、Aにとって…特に、降谷くんにとって、辛いと思うが」
「…はい」
「それでも、聞きたいか?」
念を押されて、私は思わず押し黙った。
深く息を吐きながら目を閉じる。
『……今度…赤井から、話を聞いてみるといい』。
そう言った零さんを思い返す。あの…少し苦しそうな、切なそうな表情。
いつも、秀一さんを憎んでいるような態度だけれど。あの時は違った気がした。
零さんにとって、辛い…真実か。
それを、私が聞いてしまっても…本当に、良いのだろうか?
その結果、彼の心を傷つけてしまったら?
嫌だ。嫌だ…けど、
今の私は。
彼の心に寄り添える自信が、出来た。
零さんの傍にいて。彼の笑顔を守れる…自信がある。
何があっても絶対に、彼と一緒にいるって決めた。
だから。大丈夫。
「はい。本当のことを…秀一さんの知っていることを、そのまま聞かせて下さい。」
「あぁ。…分かった」
こくりと頷いて話出そうとする彼に、慌ててストップをかける。
「ちょっ、待ってください…!先に謝っておきます!」
「ん?」
「私、話が終わった後…ドン引きされるくらい泣くと思いますが、許してください」
『すみません!よろしくお願いします!』
頭を深く下げながらそう告げれば、秀一さんはクスクスと可笑しそうに笑った。
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re(プロフ) - MUTSUさん» MUTSUさん、またまたコメントありがとうございます…!嬉しすぎるお言葉、本当に励みになります…(;-;)あと少し、降谷さんにとって辛いお話になりそうですが、夢主ちゃんに頑張って貰って!笑 2人の愛を書いていけたらと思います!ありがとうございます…! (2021年6月16日 21時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
MUTSU(プロフ) - reさんこんにちは83話2人の互いへの愛に満ちてて、会社にいるの忘れて私も号泣しました!これからも応援してます!! (2021年6月16日 12時) (レス) id: 27f9f4caf0 (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - Leilさん» Leilさん、コメントありがとうございます…!わ、わわ!本当ですか…!感情移入出来るような夢小説を目指しているので、めちゃくちゃ嬉しいです(;-;)零さん呼び良いですよね^^ 嬉しがってたら最高だなぁ笑 温かなコメント、ありがとうございました!更新頑張ります! (2021年6月8日 17時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
Leil(プロフ) - 降谷さんとのイチャイチャでニヤけたり重ための話で泣いたり、すごく感情移入がスムーズで、めちゃくちゃ面白いです!!降谷さんのことを零さんって呼ぶのももうズルい(笑)降谷さん嬉しいんだろうなーと思いながら読んでますw (2021年6月8日 12時) (レス) id: 36e4ed7dad (このIDを非表示/違反報告)
re(プロフ) - りなさん» りなさん、コメントありがとうございます…!隙あらばイチャコラさせてしまうので、大丈夫か?!と心配でしたが、これからもイチャコラさせようと思います…!笑 優しいお言葉、本当に嬉しいです(;-;)今後も更新頑張っていきます。ありがとうございます…!(;-;) (2021年6月7日 9時) (レス) id: 963c697df1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:re | 作成日時:2021年5月28日 7時