海の猟犬3【onepiece】 (ページ46)

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113話ページ46

ヘルメッポside

…あの時、俺は見ちまったんだ。知っちまったんだ

中将が拘束される前に、廊下を歩いて治療室の前を通った時、ナース達が話している内容が気になって足を止めた

「ねぇ、A中将の解毒薬の件はどうなってるの？」

「ん？あぁ、コビー大佐にも伝えたけどまだ全然出来てない。正直、作れないんだよな

毒素は複雑で中将の全身に回ってる。無理だ」

「でも、作るんでしょう？」

「気休め程度に薬を処方したけど、あれは偽薬だ。なんの効果も発揮しない

そうでもしないと、納得してくれないだろ？」

「それに、あのイカれようだ。何をしても手遅れだろ…」

「確かにそれもそうね。煙草、私にも頂戴」

「ほい。あ、オイルが切れた…取りに行くわ」

部屋から出てきたところで鉢合わせた

「ｯ…うわ、ヘルメッポ少佐…、ど、どうしました…？」

「今の話は本当か？何の意味も無い薬を処方したのか？
……お前達は人を助ける医者じゃないのかよ！」

巫山戯た事をぬかす男医師の胸ぐらを掴む
解毒出来るか出来ないかじゃない…、人としてどうなんだと

人の命を、なんだと思ってるんだ

『やぁ、受診に来たんだけど……お取り込み中だった？』

「A中将、…何でここに」

『何でって、薬を貰いに』

「Aさん…！あの薬はもう駄目だ、今コイツらの話を聞いて偽薬って事が分かったんですよ…！」

俺が中将へ薬のことを話すや否や、急に慌て始まる医者達。どうにか言い訳しようとする姿は呆れる

『…、は、はは。ご冗談』

「ﾁｯ…、鬱陶しいぜ」と見知らぬ男海兵がぬっと治療室から出てきた。見た所、今先程まで手当されていたんだろう

「あんたさ、串刺しの時の生き残りだろ？誰一人と助けられなかったんだろ

これはお前への罰なんだ。誰かに頼るな、重く受け止めろ」

「三等兵がｯ…、中将の何を知ってんだよ…！それに誰一人って事は無い。寝たきりだが、1人の命は助かってんだよっ」

「1人…？ああ、アッシュ伍長の事か。それでも植物状態で何の役にも立たない、ベッドの無駄遣いだ

それならいっそ死んじまえばいい。生きてる俺達の方が何百と怪我をしてまで、頑張ってんだから」

コイツｯ…！なんて事を中将の前で！

握りしめる拳が、そろそろこの巫山戯た野郎の顔面に飛びそうだ

「…、中将？」

『…生きてんだよｯ、アッシュは頑張って生きてんだよ…！』

そして、怒りをおされられなかった