海の猟犬3【onepiece】 (ページ45)

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112話ページ45

「…お前に何があったんだ」

そう言い直してやると、まるで闇夜に光る獣の瞳で語り出す

『彼奴が、僕を襲ってきたんだ…僕の事を変な目で見て来た…！気色悪いｯ、身動き出来ないことを言い事に僕に触った…ｯ！！』

Aの悲痛の叫びが鼓膜を揺らす
涙を溜めて解放しろと懇願する様子を、ただ見つめる

『…だから殺した。どうせ人から嫌われてる海賊だ…。

ほら、全部話した……僕をここから出して』

「残念だが…無理だ、」

『は…、？嘘ついたの…』

「今のお前じゃ外に出してやれねぇ。お前がここに来た理由は、仲間に手を出したからだ。その様子じゃまた同じだ」

『うそつき…、大嫌いだ…、！みんなみんな、だいきらいｯ』

「お、おい！俺達を違う牢屋に移してくれ…！こんなイカれたやつの近くなんてたまったもんじゃない！！」

「安心して、眠れやしねぇ…！いつこいつに殺されても可笑しくねぇ…、頼む！！」

隣の牢で海賊達が怯えながら訴えて来る。一部始終全て見たのだろう

「海賊が何贅沢な事を言ってやがる。お前達に安心させる必要はねぇ…どうせ、お前達も一緒になってAを怒らせたんだろうが」

「そんな…！頼むよｯ！！」

そんな海賊共の声を無視して、牢から離れ地上へ戻る階段を上がっていく

Aが蹲る姿を最後に、光が当たる場所へと戻った

「(あの頃の奴と大違いだな…)」

悪戯をして怒られてもなお、ヘラヘラと嬉しそうに本部を騒がせていたAを思い出す

今は静かでなんにも無い本部

それが普通なのに、普通な筈なのに…

「…物足りねぇな」