海の猟犬3【onepiece】 (ページ29)

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96話ページ29

『あーーｯ！！！』

指をさして恰も何か見つけたように声を上げた

「ん？、何だ？」

そっぽ向いているうちに、ゼラを引っ張り奴等から逃げる

「あ！クソｯ、待て…！！」

「お兄ちゃん…！追いつかれるよ！！」

『ｯ、掴まって…！』

ゼラを背中におぶり、白狼へと姿を変え走る
後ろから驚きの声が聞こえるが早く離れないと、何されるか分からない

急いで離れ、もう追ってきていないことを確認して家へ入った

「はぁ〜…、びっくりしたぁ。ありがとう、お兄ちゃん」

『…、』

どうしたの？と聞いてくるゼラに不安の目を向ける
ゼラはまだ小さく、窓の外の景色が見えない

外の景色はいつもの白い景色では無く、リンゴと同じ赤い色をしている

それに外の人があんな大人数居ること自体、異常事態なのだ

バンッ、と扉が開きお母さんが血相を変えて知らせに来る

「いい？今外では大変なことになってるの。お父さんが今、皆と闘っているけどここも危険。2人とも裏へ回って、騒動が静まるまで小舟に乗って雲海に隠れていなさい…！」

「やだ！、やだ、！お母さんと一緒にいるの…！！」

涙を流すゼラといつもと雰囲気が違う母に戸惑う僕

妹みたいに声を出したいけど、不安でそれすら出来ない
指先が震えている。口元がひくつく

「A、ゼラを責任もって守りなさい」

『ぇ、僕。そんな…』

「大丈夫、Aなら守れるわ。だって私とお父さんとの子だもの、とても強い。だから、ゼラをお願いね」

肩を優しく叩き、僕らを置いて出ていったお母さん
隣では嫌だぁ〜！！と泣き喚くゼラ

、

「え、！どこ行くの。！！お母さんは？お父さんは！？」

ゼラの手を引いて裏から海の小舟へと移動する
後ろで暴れるゼラを、無視して手を引っ張っていく

「お兄ちゃんの馬鹿ｯ！人見知りｯ！ポンコツｯ！！お父さんとお母さんはどうするのよｯ！！」

煩い妹を雑に放り込み、小舟を出す

「有り得ないｯ！！見殺しにするの、？」

『僕らが行っても、足手まといになるだけだ。僕らができる事は、雲海に隠れて静まってから安否を確認する事だ』

「私も、獣になれるもん…！皆と戦える！！」

『駄目だ！まだ不完全だろｯ！！頼むから言うこと聞いて！』

ゔぅ〜ｯ！！と唸り声をあげて我慢しようとするも、「私は行くｯ！！」と小舟からザパッと海へ降りるゼラ

『ちょっとｯ…！待って、ゼラ！！』

走りゆく妹を追いかけるも、火の手がもうすぐそこまで来ている

待ってよ、ねぇ