88話 ページ21
「エデンの者は普通、余っ程の事がない限りこちら側には来られない筈なんだ……。だけどあの人が来たせいで、そうなる筈だった未来が書き換えられた
本来なら兄のライラが首席になり、皆を引っ張っていく筈だったんだ。でも、ライラの人生は変わり長生き出来ていたはずの未来が無くなった…！」
頭を抱えて怒りを爆発させるバナー
それでも泣きそうな表情で、白狼を見つめるその瞳には哀愁が漂う
「君も本当はこんな事したくない筈だ…、違う？」
「俺は、兄と強くなって誰かを守る為に海兵になった…なのに憧れの兄は死に、もう自分の進む道が分からない…！
本当は誰も殺したくない、でも…！死んだ理由が彼にあるのなら許す訳にはいかないんだｯ！」
後ろを見ると、ヘルメッポさんがツバキと戦いながら上手くAさんの攻撃を避けている
早く行ってあげないと
「…亡くなった人は帰って来ない。でも、誰かが覚えている限りライラさんはずっとその人の中で生き続ける。きっと、ライラさんはこんな事望でいないよ」
それも弟である君が苦しみながらも、Aさんを傷付けることは、決して望んでいない。、
「バナー、Aさんに聞いてみよう。ライラさんの事。、だから協力して欲しい
君の力が必要だ」
「ｯ…、
静めるにはもう一度薬を口に含ませなきゃならない。…俺が囮になる。だから大佐、貴方が中将の口へ入れて下さい」
そう言うと青い錠剤を手渡された
「分かった…！」
薬を握りしめ、、気合を入れる
「ツバキｯ！！力を貸せ…！俺が囮になる、お前は大佐が口へ近づけるように援護しろ…！！」
「はぁｯ！？、ほんま、人使い荒いやっちゃなー！
喧嘩はもう終わりかいなっ…！？」
「ヘルメッポさん！僕からも頼むｯ！」
「おう！任せろｯ！！」
正気を失い、暴れまくる獣ほど操るのが難しい物は無いだろう。予測不能な攻撃を仕掛けてくる為、僕らも必死だ
でも、さっきより断然動きやすい
「今だｯ！！」
「うｯ…！Aさん！！呑み込んでっ…！！」
『グァルルァｯ！ｶﾞﾌｯ、…！』
腕を突っ込み喉の奥へと薬を押し込む。、腕を噛みちぎられる覚悟はしてる
それでも、Aさんが帰ってきてくれるのなら全然良い
「ｼｰ…ｯ、大丈夫ですAさん…！」
僕達と帰りましょう
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作者名：夛湖 (たこ) | 作成日時：2023年11月6日 22時
