海の猟犬2【onepiece】 (ページ10)

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39話ページ10

『いやぁ〜、遅れてごめんね。会議以外の事で長引いちゃって、帰れなかったんだよね』

そう、会議はもうとっくに終わっているはずの時間なのに姿を見せなかったA中将

聞かなくたって大体分かる。クザン大将の件だ

はぁ〜っと溜息をつきながら、ソファにもたれ掛かるAさんに素早くお茶を差し出すバナー中佐

「すみません、少し冷めてしまっているかも」

『別に良いよ、ありがとう！』

綺麗な笑顔でカップを受け取るAさん

「(僕の時もあんなに笑顔だったのかな…？

何だか違う気もする、)」

移動して間もないからだろうか。安心してもらう為にいつもと少し違う笑顔を向けてるのかな…いいなぁ、

そっとカップに口をつけお茶を飲むAさん

…それは僕が入れた物じゃない

今まで僕がしていた仕事を横から取られ、僕が作ったものじゃないのを飲んでいる姿に、先程感じた嫉妬心が僕の中で暴れる

それで貴方は彼に向かってこう言うんだ
美味しいよ！ありがとう！！って…

『美味しいよ！ありがとう！！』

「いえ、お味は大丈夫ですか？」

『いつもは、コビー大佐が入れてくれてたんだけど、やっぱり人が変わると味も変わるね』

ああ。そうか、今まで僕が作るお茶の味を覚えていたのに、変えられてしまった

〘これからは、俺が中将の補佐をするので〙そう言われもした。Aさんともっと仲良くなる為に重ねてきた時間を、一気に持っていかれたように感じる

考えれば考える程、僕の中の嫉妬が渦巻いていく

「おい、コビー。大丈夫か、顔色悪いぞ？」

「ぇ…、そうかな…？」

『本当だ、大丈夫？具合悪い？？』

そう言うと、机を挟んで対面的に座っていたソファから身を乗り出して、僕のおでこへと手を当ててくるAさん

今まで、触れたいと思っていたのに何故だろう
今は嫌だ。…触れてほしくない

Aさんの手が届く寸前で立ち上がった

「僕、今日は調子が良くないみたいです。移ってしまったら大変なので、部屋に戻りますね

ヘルメッポさん、すみませんがまた話の内容を教えて」

それだけ言うと、そそくさに部屋から出た

「(気持ち悪い…)」

今まであまり感じたことのなかった、黒い気持ちがまるで僕にまとわりついて離れない、あまりにも不快だ

自分に嫌悪感を抱いた

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『ねえ、彼は朝からあんな感じ？』

「多分疲れもあると思うんすけど、1番は拗らせが原因かもなぁ」

『…なるほど』