海の猟犬2【onepiece】 (ページ45)

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67話ページ45

窓から海を眺めるAさん
その姿さえも、綺麗で見とれてしまう

「Aさん」

名前を呼ぶと、瞳だけこちらを見てはまた海の方を眺める

近くにあった椅子をAさんの前へと移動させ、僕も腰掛ける。そして、Aさんのように窓から外へと視線を向けた

海風が気持ちよく靡く

こんな気持ちのいい日は、のんびり花に水をやったりして過ごしたいものだ

『…、きもちいいね。風』

さっきとは打って変わって、落ち着いた口調。センゴクさんと話していた時とは別に、今は何処か眠そうにも感じる

「そうですね、気持ちがいいですね」

『…、僕さ…、つかれた…かも』

言葉も途切れ途切れになって、ウトウトし始めるA中将
普段見らない姿から、少し愛おしく感じる

「ふふ、眠いんですか？いいですよ。僕が後で起こしてあげますから」

『ん…、』

窓際に凭れてすぅすぅ寝息を立てるAさん
風に揺れる白髪がAさんの顔を隠す

「おやすみなさい、Aさん」

髪を耳にかけてあげ、頭を撫でた
人前で滅多に眠らないAさんが、僕の前で眠っている

1度、強化特訓の前に一緒に寝たが、あの時とはまた違って他の人ではなく僕の前で眠っている事に、何処か優越感を感じる

眠っている事をいい事に、近くで見てみたくなる

触れてみたくなる…、

そっとAさんの手に触れてみる
白くスラッとした腕に、細長い指、ラウンド型の爪に、柔らかい感触。全てが僕を満足させる

チラッとAさんを確認しながら、僕の指と絡め恋人繋ぎをしてみる

「(僕の手の方が若干大きい…？)」

Aさんの手は女性のような手の形だから、そう感じるだけなのかもしれないが少し勝ったという気持ちになった

今度は、耳に手を伸ばし耳を触る

黒く輝く小さなピアスがまた色気を感じる。親指で揉み解すように耳を触り形を知る

普通の人よりやや尖った耳は、狼犬になれるからだろうか…？

知りたい…もっと知りたい。貴方の事

ふにふにと今度は唇を触る。程よく色付いた柔らかい唇に、チラリと見える犬歯

「(駄目だ…、可愛すぎる…！)」

ここまで来ると最早変態だと自分でも思う。だけど中将が可愛くて仕方がない

僕の顔はきっと真っ赤になってるだろう

…人とは怖いもので、1つ思っていた事をクリア出来ると次も出来るんじゃないかと考えてしまう

今まさにその状態

両手をAさんの顔に添え、そっと近づく

「(どうか、起きないで)」

僕はAさんに口付けをした