海の猟犬2【onepiece】 (ページ43)

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65話ページ43

『はぁ〜…、疲れた』

ソファの上で体を伸ばすと骨が鳴る
天井を見上げ、今回の強化特訓を振り返る

『…、それにしても生きてたんだ』

僕の姿を見るなり、降りると言い放った元同じ海賊のクルーだった彼女

僕が奴のサンドバッグになっているのを黙って見ていた彼女

潰れそうな時だけ、寄り添い傷を癒してきた彼女

もう、関係ないけど

「Aさん、失礼します。お茶を持ってきました」

手渡される、仄かに香る優しいアールグレイの香り
疲れた体を癒すには最適だ

ソファから身を起こしてお茶を飲む

…

『…なに？』

「あ、！いや、特に何も…！」

何故かチラチラと僕の方を見てくるコビー
別にいいんだけど、飲みづらい

「…あの、怒ってますか…？」

『うん、怒ってるね』

即返事すると、ワタワタとたじろぐコビー
お茶を飲みながら急にむせだす

「ゴホッゴホッ！」

『ちょ、汚い…！』

「す、すみません…！ぇと、僕がイヴさんを連れて来たからですか…？」

『違う』

「じ、じゃあ、少女を説得するのに時間がかかった…から、」

『違う』

残念だけど、全て不正解

僕が怒っているのはそんな事では無い

この部隊で活動してまだ、日は浅いかもしれないがそれでも僕は、信頼関係が出来上がってきていると、少なくとも思っていたのだ

なのに

『君が僕の事、偽物と間違えるんだもん。僕、悲しいなぁ』

「す、すみません…、ヘルメッポさんの様に操られているのかと思って、」

僕が拗ねるように言うと、俯いてボソボソと小さくなっていく声。まるで叱られた後の柴犬の様だ

『過ぎてしまったことは仕方ない
今度は間違えないでね、

僕の事』

「…はい！勿論です」

彼の目が好きだ。嘘偽りのない綺麗な目が好きだ。自分の進むと決めた道へ真っ直ぐ突き進む彼が好きだ

僕は好きな物は必ず守り抜く

今度は必ず守ってみせる、自分の命にかえても

途中、コビーが彼女と出会った経緯の話をしたり僕と彼女との関係を話したりしていれば、本部手前の島に着いたので、ある条件を元に彼女、イヴを船から降ろした

条件は、僕と出会ったことは内密にする事、この島で当分は暮らす事、僕の条件は何でも飲む事の3つ

これを守れない場合、僕は君を殺す

これに対して、イヴは深く頷いた

イヴを島に残し、再び船を海軍本部へと動かす
名残惜しいとはこれっぽっちも思わないが、彼女の姿が見えなくなるまで見届ける

『…』