海の猟犬2【onepiece】 (ページ31)

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60話ページ31

まるで本当の蛇のように絡みついてくるAさん
僕の中でAさんに対する恐怖が、膨らんでいく

『うは、震えてる。…面白い』

偽物だって事は分かってるんだ、反撃しないと…！
……でも体が言う事を聞かない

スっとAさんの冷たい手が僕の頬に添えられた

偽物だとしても、恐怖の対象だとしても胸は高鳴る訳で…今まで目を合わせないように下を向いていたが、今だけ目を合わせた

『僕の事…すき？』

喉がぎゅっと鳴る。ほんのり色づいた頬に普段とは違うとろんとした虚ろな瞳。僕の様子を伺う為か下から覗くように目を合わせてくるので、必然的に上目遣い

「…ｯ！」

『何で目を逸らすの？…僕の事もっと見ていいよ』

Aさんの高く整った鼻先が、自分の鼻先と触れるくらいに近づいてくる

そのまま、肩を押され倒れ込んでしまう
僕の上にAさんが跨り、馬乗り状態となる

『さっき迄は、震えていたのに今度は顔が赤いね
君は表情が、コロコロ変わるから面白いや』

、言動や行動があまりにも普段のAさんから想像できるので、僕の中で偽物じゃないんじゃないかと言う不確かな自信が出てきた

それか、またヘルメッポさん同様操られている…の、か？

「Aさん…、目を、覚まして下さい
今の貴方は、本当の貴方じゃないでしょう……？」

『…やだなぁ、ほんとの僕だよ
ねえ、そんな事より僕の目を見て。逸らしちゃダメだよ』

そう言われ、目を見ると吸い込まれそうに綺麗な赤
宝石を見るように目が離せなくなる

(あれ…、Aさんの目の色って赤……だったっけ…？でもいいや…そんな事。本当に綺麗だなぁ、、)

抵抗する力も徐々に落ち、脱力する

『「くふ、そうそう…いい子だ

後は、このナイフで心臓を一突きすれば貴方もあの世行き。あの生意気な白髪男の嘆く姿が見たいわ」』

ナイフを心臓に向かって振りかざした

『ほーんと、悪趣味だなあ…』

「…ｯは？」

ぽた…ぽた…

「(何が起きた…？痛い…、この、赤いのは何…？)」

胸元に手を当て、広げてみると赤一色の手のひら
血…？

「痛い痛い痛い痛い痛い痛いｯ！！！」

『そりゃあ、痛いよ。ナイフで突いたんだから

似しても、僕の部下に何してたの。今度は彼を旦那様に仕立てようと思ったの？

それとも、殺そうとしたの…？その姿で』

「ごほっ、！くっ…、Aさ、ん…？」

『君もまんまと騙されちゃってさ…、僕悲しいな〜』