55話 ページ26
コビーside
「(可笑しい…、どれだけ走っても入ってきたはずの出入口が何処にも無い)」
人1人抱えて何度も同じ所を走り回っているようで、呼吸も最初より荒くなる
ヘルメッポさんに電伝虫を掛けたが、応答がなかった
早く他のみんなとも合流を急いだ方が良さそうだ
「あｯ！やっと見つけた…！めっちゃ探してんでほんま！」
「コビー大佐…ｯ説明は後に。、ここは早く逃げた方が良さそうです…！」
「ツバキさん！バナーさん！良かった…！
僕も先程から出口を確保するため、探しているのですが同じ所を何度も戻ってきてしまうんです、」
所謂、ループにハマったようだ…
ツバキさんが、抱えている女性について聞きたそうだったが流石に今では無いと思ったのか、何も聞いてこない
「言ったでしょ…もう遅いのよ。出口なんて無いわ…ヤツを倒しでもしない限り有り得ないわ…」
倒す…？そうか。
「…そうだ、…そうですよ。これは強化特訓です、ただ逃げてるだけじゃダメだ。それに、ヘルメッポさんを見つけないと」
「…ｯ俺は、嫌やで！悪いけど、薄気味悪いのはゴメンや…！それに強化特訓って言っても俺、中将の事が信用出来やん…！！」
額から冷汗が流ているツバキさん。何かあったのか、落ち着きがなかった
確かに、少し薄暗く気味が悪い。この場所に居ていい気分には到底なれないのは分かる
「ツバキさん、落ち着いて。混乱しているのは貴方だけじゃない、僕らもそうだ。それに今、別行動するのはいい判断とは言えない」
そう言うと、俯き頭を抱えたツバキさん。顔色がすごく悪い、声をかけようとした時バナーさんに止められた
「…ツバキはこういう事、よくあるんです。本人曰く、霊感が強いらしく、よく感じとっては体調を崩すそうで…
俺はツバキを運びます、ヘルメッポ少佐を探して早くここから出ましょう…！」
「うん…！」
正直僕も、内心穏やかじゃない。覇気でなくとも感じ取れる嫌な予感は、徐々に膨らんでる
まるで、何かがそこに居るような感じ
瓦礫の隙間や、開き掛けの扉、狭間の暗闇からこちらを誰かが見ているような、嫌な感じ
ヘルメッポさんを見聞色の覇気で探すも、焦っているせいで上手く探せているのかすら不安だ
でも、僕は大佐。皆を引っ張って行かなきゃならない
僕がビビってちゃダメだ。頑張らないと…！
ヘルメッポさんの気配が微かに感じる地下の方へと僕らは急いで向かった
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作者名：夛湖 (たこ) | 作成日時：2023年7月30日 0時
