海の猟犬4【onepiece】 (ページ31)

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144話ページ31

スモーカーside

「おい、たしぎは？」

「たしぎ大佐は、別室で安静にしています。急所は外れていたので、数日で目は覚めるかと」

「そうか…」

テキパキと俺の点滴を調整する医者を横目に、今朝の出来事を思い出す

あの後、刺さった短剣から毒が回り意識が朦朧とした
最後に見たのは、奴が乗る軍艦が霧の中に消えていく所

通りかかった仲間に桟橋で倒れている所を発見され、助かった

「…馬鹿野郎がｯ、！」

いつもヘラヘラしている癖に、笑っていなかった…
色素の薄い瞳も、殺意沸く濁った瞳だった…くそｯ、

あの馬鹿自製の毒は、よく効くようでまだ体が痺れている感覚が残る。ろくなもん作っちゃいねぇな…

痺れる手を見つめていると、見知った男が部屋の中に入って来た

「ノックぐらいしろよ…」

「いやぁ、ごめんごめん。どうよ、調子は」

よっこらしょ…っと…と椅子に腰かける大将、青雉ことクザン

足を大きく開いて座っては手を組み、こちらを睨むように見てくる目は、色眼鏡でも隠しきれていない

「何しに来たんだ」

「全く、すぐ警戒すんだからなぁ…。まぁいいか
お前、何でAを逃がしたんだ」

「逃がしたんじゃない、逃げたんだ」

「…可笑しいな。Aには首輪がついていた筈だ

あれはただの首輪じゃねぇ、あいつの得意とする覇気を封じる様に、改良が施された物だ」

「…どうやら、あいつの中でこうして逃げる事は決まっていたらしい。自製の毒なんか作って短剣に塗り込んでやがった」

俺が、逃がすわけないだろうが…。あいつを、海賊を

「…躊躇したんだろ」

「何が言いたい…！」

何がわかるってんだ…、あんたなんかに…ｯ、！
ふざけんじゃねぇ

「あの場で捕まえれば、待っているのは死以外なんもねぇ。お前の性格上、Aの生い立ちを知っていれば、同情して躊躇するのも頷ける」

「…ｯ、違う！同情なんかするか、。アンタ、本当に何しに来たんだ。俺があいつを逃がしたとして、何か問題でもあんのか…！」

天竜人を襲ったんだ、もう手遅れだ

逃げるに決まってる…。エデンなんてもんにも関係あるとかで、世界から狙われてんだ

「問題大ありだ

お前が逃がしたせいで、俺達は最悪な選択を選ばざる負えなくなった。全く、どうしてくれるのよ

あの首輪は本人が外すことは出来ねぇが、誰かが外そうと思えば簡単に外れちまうんだから」

「…知らねぇよ、んな事」

あいつが蒔いた種だろ…俺には関係ねぇ