126話 ページ12
『本当にいいの？』
「何だ、嫌なのか？嫌ならそのままでも俺は構わないぞ」
『いや…、唐突過ぎて戸惑ってる』
今朝起きてすぐ、外出許可がおりた。解放する前に本当に問題を起こさないか見極める為らしい
条件として首輪は付けたままで、今日限りの外出。少しでも変な動きをすればまた、拘禁生活に戻される
2ヶ月ぶりの外の空気、吹き通る風が気持ちいい
『うは、釈放される人ってこんな気分なんだな』
「今日限りだぞ、忘れるなよ」
『うっかり、悪戯して捕まらないように気を付けないと』
僕がそう言うと、馬鹿犬！と頭を殴られたが、その感覚も懐かしく感じて少し嬉しかった
さて、貴重なこの時間。どう過ごそう
特にあてもなく、ぶらぶらと廊下を歩き回る
「ねぇ、あれ…」
「最近見ないと思った…」
「何で、外に出てるんだ…」
僕の姿を見るなりコソコソと話をしたり、チラチラとこちらを見てくる
そんなに気になるんなら、声を掛ければいいのに
『僕の顔に何かついてる？』
「えっ！？、ああ、何も…行こうぜ」
折角僕から声をかけたのに、小走りで逃げて行った。その様子に周りも目を逸らしたり、離れて行く
『…』
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ヘルメッポside
「にしても、その研究員も胡散臭いな…。」
「でしょ？僕はもう信じられないよ…」
食堂に向かう途中で、コビーからその胡散臭い研究員2人の話を聞く。内容を聞いていると、そりゃあんな状態にもなると納得できた
「で、その研究成果は見に行ったのか？」
「いいや、まだ…」
「まあ、行かねぇ方が正解なんじゃねぇか？」
話している内に食堂へと着き、今日は何にしようかと悩んでいると、あるひとつのテーブルを数人が囲んでいるのが見えた
「何だありゃ」
「さぁ…？何でしょう」
まぁ、ガタイの良さそうなのが数人と、柄の悪そうな奴がチラホラと、面倒くさそうなメンツが揃っている
「おい、どうせ食べても吐き戻すンだろ？食材が無駄になるだろうがよ、とっとと失せろよ」
「あん時は世話になったなぁ…お前のお陰で俺は重症で済んだンだぜ？」
「何とか言えよ、オラァッ！」
ヒートアップしてくる辺り、そろそろ爆発しそうでヒヤヒヤする。巻き込まれんのは御免だ
「なぁ、あっち行こうぜ…」
「待って、あれって…」
コビーが見つめる先を見ると、見覚えのある白髪が揺れた
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作者名：夛湖 (たこ) | 作成日時：2023年12月24日 14時
