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眠った感情 ページ2
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式も終えて雅紀の転勤先へと引越しの段取りを手際よく進めていく
「あ、A！そこのは重いからそのままでいいからね！」
どこか嬉しそうな雅紀をみて本当に優しい旦那さまだな。なんて少し他人事のように感じる瞬間が多々ある
そんな思考を小さく頭を振って掻き消して引越しの作業に没頭した
この地を離れたら、きっと
忘れられない彼の事はずっとわたしの片想いだった
大学の時のバイト先で黒縁メガネにスーツ姿の彼に思い切って声をかけたのがきっかけで付き合い出せた先にも後にもこの人としかそんな感情を抱いた事がない
何かと忙しい人でたまに一緒に過ごせる夜が明けてしまう事がもったいなくてなかなか寝付かないわたしの背中をポンポンと寝かしつけようとする彼
彼の体温に包まれていつの間にか寝て夜更かししたわたしは寝坊して朝から濃いめのブラックを用意するのがわたしの役目だった
彼の腕の中でその日一番に瞳に映るのが自分であり、「おはよ」と少し掠れた彼の声にドキドキと胸を高鳴らしたのをわたしは一生忘れられないと思う
雅紀にそんなドキドキを重ねてみた時期もあったけど忙しかった彼は仕事が一番だったし、それが当たり前だったと今なら理解できる
婚姻を結んで元彼のことは忘れるんだと、雅紀と同様に転勤した彼はわたしを置いてちゃんとした別れをしてくれずにいってしまったのだから…
雅紀を大切にしよう…
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作者名：しろねこ
| 作成日時：2015年10月29日 4時
