20話 ページ21
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最初から気になってはいた。
わらわら群がる女子の中で、派手な格好をした女子の中で、一人おさげに重たそうなメガネをかけている女子。
失礼だが、ザ、陰キャみたいなその子はいつも騒ぐこともなく隅っこで、静かに試合を観ていた。
そして同じ学年だということが分かって、名前はAAというらしい
何故かどうしても彼女のことが気になった。どんな人なのか。
そして1回だけ、彼女と話す機会があった
教室を出て部室に向かっている途中、前から大量の冊子の山が迫ってきたのだ
よろよろと今にも崩れそうで、持っている人は前が見えているんだか見えていないんだか分からない
そして案の定、すれ違いざまに柱にぶつかってドサドサっと崩れ落ちた
いつもの俺ならこんなの無視してそそくさと部活に行っていたのだが、それは叶わなかった
その冊子を拾う人物は見覚えのあの人だったから
『ああっ、やっちゃった…ついてへんわ〜…』
そう、AAだったのである
侑「ん」
『え?あ、ありがとう…?』
侑「他のやつに頼まんのか」
『あ、うん、友達部活行ってもうたから』
侑「ふーん、ちんたらしとんなよ豚」
『なっ初対面になんやその口の聞き方!拾ってくれたんは感謝するけどな!』
怒るか感謝するかどっちかにせえ、というかこいつ俺が話しかけても他の女みたいに騒がんのやな
こいつがバレーに興味無いわけないし、俺を知らんはずもないやろ。
…なるほどこれがあの「おもしれー女」と言うやつか。
ぎゃんぎゃんうるさい声を無視して部室に向かう
面白い。これからおちょくってやろう
しかし俺のその願いが叶うことはなかった
ある日を境にあの人はガラリと変わったからだ。
さげていた長い髪を切って、あの重たそうなメガネもなくなって
前見た時は一人ショートヘアの女子としか話す様子はなかったのに、クラスメイトと積極的に話してよく笑っていた。
そして流れ込んできたこんな噂
『立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花』
美人を形容するこの言葉も、彼女を表現するには難しいかもしれない
いつからそんなに遠い存在になってしまったのか
最初は悔しささえあったがだんだん周りの男の話題があの人になっていって、どこか焦りを感じていた
そして俺は2年になって、今年もあの人と同じクラスになることはなかった
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塩太(プロフ) - 宵さん» ありがとうございます!ちょっと残念な美人を目指しました、そう言っていただけてとても嬉しいです(*´▽`*)最後まで読んでいただき、ありがとうございました(´∇`) (2021年1月17日 10時) (レス) id: e4c4c562f1 (このIDを非表示/違反報告)
宵(プロフ) - 完結おめでとうございます!美人でオタクってのが面白くて読むのがやめられませんでした笑 (2021年1月17日 1時) (レス) id: c803e6d072 (このIDを非表示/違反報告)
塩太(プロフ) - あみんさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(*´▽`*)応援ありがとうございます!頑張ります! (2021年1月16日 20時) (レス) id: e4c4c562f1 (このIDを非表示/違反報告)
あみん(プロフ) - コメント失礼します!!侑くんが好きな子に素直になれない感じの話大好きなのでいつもキュンキュンしながら見てます!!更新応援してます!! (2021年1月16日 19時) (レス) id: ace2dffc29 (このIDを非表示/違反報告)
塩太(プロフ) - 推しのパンツさん» コメントありがとうございます!夢主ちゃんは推しに好かれるためには「おもしれー女」になるしかないと思い込んでいるので、それ故のこの鈍感さなのだと思います((ありがとうございます!頑張ります!(*´▽`*) (2021年1月16日 11時) (レス) id: e4c4c562f1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:塩太 | 作成日時:2020年12月12日 22時