【wrwrd!】Je vous embrasse (ページ46)

今日:10 hit、昨日:21 hit、合計:46,185 hit

▽ ページ46

『ふふ、甘えたさんだねオスマン』

擦り寄ってくるオスマンの頬を優しく撫でてあげれば、「さっきの先輩？も忘年会来んねやろ？」と不安気な顔をしていて、やはり先程の言葉はしっかりと彼の耳に届いてしまっていたんだと罪の意識に苛まれる

初めて見るオスマンの表情に胸が締め付けられ、どうしたらその不安を取り除けるかを必死で考えるが、私が行動するよりも先に動き出したのはオスマンの方だった

オスマンは数秒程黙り込んだ後、思い出したかのようにベッドサイドを漁り、昨晩外したばかりの自らの腕時計を手に戻ってきた

彼の綺麗な指先が私の左腕にソレをそっと嵌める
男物だけあってブカブカなその時計は、腕を動かす度にカチャカチャと音を立てていて、まるで手枷のようだ

「その腕時計、Aちゃんにあげる。だから忘年会にはそれ、着けてって？」

「男避け」と優しく微笑むオスマンは今まで目にしてきた何よりも美しくて、言葉を失った

「今日はゆっくりお家で過ごそうと思ってたんだけど、一緒に買い物にでも行こうか」

そう言って私の左手の薬指に触れるオスマンに、もしかしてと鼓動が高鳴っていく

「婚約指輪、作りに行こ。そんでさ、俺がAちゃんのことちゃんと養うから、仕事辞めて俺の奥さんになってくれへんかな？Aちゃんの先輩とは言え、さっきの人が居る職場にAちゃん置いとくのは俺も嫌やし」

「かっこ悪くてごめんな」と謝るオスマンに、ボロボロと涙が溢れてシーツが濡れる

『オスマンの奥さんになりたい』

ぐちゃぐちゃになった顔で精一杯の返事をすれば、彼は嬉しそうに私の体を抱き寄せる

彼の胸元から聞こえる少し早い心音が、この幸せが現実であるということを証明していた